2025年5月に総務省が公表した家計調査では、二人以上世帯全体の貯蓄現在高は1984万円(中央値1189万円)に達しています。

一方で、そのうち働く世帯の貯蓄額に焦点を当てると、平均1579万円に対し、中央値は885万円と平均を大きく下回る結果に。世代間、世帯間で大きな格差が生まれているのが実情です。

私たちとお金の付き合いは生涯続きますが、「同世代の家計と比べて、わが家はどのくらいだろう?」と気になる人も多いでしょう。

この記事では、総務省の家計調査の結果をもとに、20歳代から60歳代までの働く世帯(※)の貯蓄・負債・住宅ローン残高を世代別に徹底分析します。

さらに、働き盛り世代の「経済的な安心や心のゆとり(ファイナンシャル・ウェルビーイング)」に関する最新の意識調査も紹介。データから見える「持つ世代」と「持たざる世代」のリアルな実態を解説します。

※家計調査においては「勤労者世帯」と表記され、世帯主が会社、官公庁、学校、工場、商店などに勤めている世帯を指します。ただし、世帯主が社長、取締役、理事など会社団体の役員である世帯は「勤労者・無職以外の世帯」として分類されています。

1. 働く世帯の「貯蓄額」の全体平均は1579万円(中央値は885万円)

総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)—2024年(令和6年)平均結果—(二人以上の世帯)」のデータをもとに、二人以上世帯のうち働いている世帯(勤労者世帯)の貯蓄額と負債の状況を確認していきましょう。

貯蓄

  • 貯蓄現在高:1579万円
  • 貯蓄保有世帯の中央値:947万円
  • 貯蓄現在高が「0」の世帯を含めた中央値(参考値):885万円

負債

  • 負債現在高:1024万円
  • 負債保有世帯の平均値:1858万円
  • 負債保有世帯の中央値:1698万円

二人以上世帯全体と比べると、勤労者世帯の貯蓄現在高はおよそ400万円少ない水準となっています。

さらに、貯蓄保有世帯に絞って中央値を確認しても、1000万円を下回る結果でした。

ただし、世帯主の平均年齢に着目すると、勤労者世帯は50.3歳なのに対し、二人以上世帯全体は59.9歳と約10歳の開きがあります。

この年齢差が、貯蓄額の違いに影響していることは間違いないでしょう。

実際、住宅ローンを抱えつつ、子どもの教育費を負担している家庭も多いため、老後資金づくりまで手が回らないのは自然なことと言えます。

そこで次章では、20〜60歳代までの各世代ごとの貯蓄と負債の状況をまとめて確認していきます。