師走になり年金支給日が近づいてきましたが「本当に年金はもらえるの?」と不安になる方もいるでしょう。SNSでは「年金が破綻する」「元が取れない」といった声も目にすることがあります。
本記事では厚生労働省の令和6年財政検証など公的資料をもとに、年金に関するよくある誤解を3つに絞って解説します。さらに、現役世代が知っておくべき受給額の実態も示し、将来の備え方についても具体的に解説します。
1. よくある誤解①年金は「元が取れない」は本当か?
公的年金制度は、老後の生活を支える老齢年金だけでなく、万が一のときに生活を保障する障害年金や遺族年金の機能を持つ「社会保険」です。
この制度は、保険料と国庫負担による所得再分配機能も持っています 。賃金水準が高い人ほど、納めた保険料と受け取る年金額の差(賃金に対する年金額の比率)が小さくなる構造になっており、現役時代の賃金の差に比べ、年金額の差は小さくなるよう調整されています。
そのため、個人の払った保険料と将来の給付を単純に比較する「元が取れる・取れない」という貯金のような考え方は、制度の目的から見て適切ではありません。年金は、現役世代から高齢者等への再分配を行うしくみでもあります。

