5. まとめにかえて
公的年金は社会保険で、単なる「払った額=戻る額」の計算ではありません。令和6年の財政検証では、就業者の増加などで積立金が当初予想より上振れしています。したがって「すぐに破綻する」という主張は、現行の試算では当てはまりません。
ただし平均受給は約14.6万円(厚生年金込み)と、生活費を全て賄う水準ではない人が多いのも事実です。だからこそ、年金制度を正しく理解した上で、自分の生活設計(働き方・資産形成)を考える必要があります。
小さくても積み立てやiDeCo、働き方の見直しなど「自助」の一歩を始めてみましょう。年金は制度だけに頼るものではありませんが、制度を理解すると次の一手が見えてきます。
参考資料
- 厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料①」
- 厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料②ー年金額の分布推計ー」
- 厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しー令和6(2024)年財政検証結果 ー」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
村岸 理美