12月は今年最後の年金支給日が15日にあります。そんな暮らしを支える年金制度ですが「将来本当に年金はもらえるの?」「人口減少で保険料ばかり増えるのでは?」といった不安を抱く方もいるかもしれません。特に、少子高齢化が進む日本において、SNS上には「年金は破綻する」「元が取れない」といった意見も見られます。
今回は、厚生労働省の令和6年財政検証などの資料をもとに、「公的年金のよくある誤解3選」を徹底的に解説し、シニア世代の実際の年金受給額を解説します。
1. 年金の誤解①年金は「元が取れない」ってホント?
公的年金制度は、老後の生活を支える老齢年金だけでなく、万が一のときに生活を保障する障害年金や遺族年金の機能を持つ「社会保険」です。
この制度は、保険料と国庫負担による所得再分配機能も持っています 。賃金水準が高い人ほど、納めた保険料と受け取る年金額の差(賃金に対する年金額の比率)が小さくなる構造になっており、現役時代の賃金の差に比べ、年金額の差は小さくなるよう調整されています。
そのため、個人の払った保険料と将来の給付を単純に比較する「元が取れる・取れない」という貯金のような考え方は、制度の目的から見て適切ではありません。年金は、現役世代から高齢者等への再分配を行うしくみでもあります。

