2. 年金受給者で確定申告が「不要な人」とは?

年金を受け取っている人の申告手続きの負担を軽くするために、「公的年金等の確定申告不要制度」が用意されています。

この仕組みでは、公的年金等の年間収入が400万円以下で、さらに一定の基準を満たしている場合には、所得税と復興特別所得税の確定申告を行う必要がなくなります。

対象となるのは、次の条件をすべて満たしている方です。

  • 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
  • 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である

2.1 「公的年金等に該当する所得」はどんなものがある?

「公的年金等」として扱われる所得にはいくつかの種類がありますが、主なものは次のとおりです。

  • 国民年金や厚生年金
  • 共済組合から支給を受ける老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金、老齢共済年金)
  • 恩給(普通恩給)
  • 過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金
  • 確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金

2.2 公的年金等に関連する「雑所得以外の所得」はどんなものがある?

公的年金等とは別枠で扱われる「雑所得以外の所得」には、主に次のような項目があります。

  • 生命保険や共済などの契約に基づいて支給される個人年金
  • 給与所得
  • 生命保険の満期返戻金

では、どれほどの高齢者がこの「確定申告不要の対象」になるのでしょうか。

次章では、国民年金や厚生年金の受給額データを踏まえ、その実情を確認していきます。