2. 【ポイントを整理】なぜ「給付付き税額控除」が検討されている?

「給付付き税額控除」が注目を集めている理由は、主に2つあります。

2.1 ポイント1:低所得者層に支援を確実に行き渡らせられる点

所得税の減税は、前提として税金を納めている人を対象とする仕組みです。

そのため、所得が少なく税負担がほとんどない人や、非課税世帯には十分な効果が及びません。

結果として「本来もっとも支援が必要な人ほど取り残されてしまう」という矛盾が、従来の制度にはありましたが、給付付き税額控除は、この課題を解消する制度とされています。

税額控除だけでは補えない部分については現金が給付されるため、納税が発生しない世帯であっても支援を受けることができ、結果として、従来の減税制度では対応しきれなかった、低所得者へのきめ細かな支援が可能となります。

2.2 ポイント2:消費税の「逆進性」を是正できる点

消費税は所得の多寡にかかわらず同じ税率が課されます。

そのため、収入に占める税負担の割合は、所得が低い人ほど高くなるという「逆進性」の問題があります。

たとえば、年収300万円の人が生活必需品に100万円を使えば、消費税は10万円かかります。

この10万円は、年収1000万円の人にとっての負担と比べると、重さがまったく異なります。

給付付き税額控除は、この不公平を現金給付によって調整する仕組みです。

低所得者に現金を支給することで、消費税として負担した分を国が実質的に補填し、その結果、手元に残るお金、いわゆる可処分所得の増加につながります。

また、この制度は税による再分配機能を強める役割も持っており、とくに恩恵が大きいのは、所得税がかからない非課税世帯です。

現在、多くの給付制度で基準とされている「住民税非課税世帯」も、ほぼ同じ層に該当します。

自分の世帯が対象となるかを判断するためには、住民税非課税の条件を把握しておくことが重要です。