年末が近づき、住宅ローンを借りた金融機関から残高証明書が届き始める頃。特に、今年マイホームを購入した方は、そろそろ住宅ローン控除の初年度の手続きについて考え始める時期です。

住宅ローン控除は住宅ローン残高に応じて税額控除が受けられる制度ですが、初年度の適用には確定申告が必要となります。ここでは、住宅ローン控除の仕組みや戻ってくる税金の目安、必要書類について元銀行員の筆者が解説します。

1. 住宅ローン控除のしくみ「最長13年間、ローン年末残高の0.7%」

住宅ローン控除とは、住宅ローンを借りてマイホームを取得した際に一定の条件を満たすことで受けられる所得税の税額控除制度です。

控除額は住宅ローン年末残高の0.7%で、最長13年間控除を受けることができます。

住宅区分に応じて借入上限が決められていることが特徴で、省エネ性能や環境性能が高い住宅ほど借入限度額が大きくなっています。

たとえば、長期にわたって住居できるような措置が取られている「認定長期優良住宅」では最大4500万円までが控除対象となります。さらに夫婦のどちらかが40歳未満の若者夫婦世帯や子育て世帯は上限額が拡大されており、5000万円まで控除を受けることができる仕組みです。

また、新築住宅だけでなく一定の条件を満たせば中古住宅やリフォームのために借り入れた住宅ローンも控除の対象となります。

1.1 住宅ローン控除の適用条件

住宅ローン控除の適用を受けるためには、主に下記のような条件が定められています。

  • 住宅取得後6ヵ月以内に入居していること
  • 家屋の床面積(登記面積)が50㎡以上であること
  • 床面積の2分の1以上が居住用であること
  • 住宅ローン等の返済期間が10年以上であること
  • 所得金額が2,000万円以下であること

なお、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅については、省エネ基準を満たしていないと住宅ローン控除を適用することができません。