年末調整が始まるこの時期、ご自身の年収を振り返る人は少なくありません。物価高が続き、安定した収入を得ている30~50歳代の現役世代も、インフレを身近に感じた1年だったことでしょう。
また、いつまでも続く物価上昇で、予定通り貯蓄できない人も少なくないようです。
そこで今回は、30~50歳代で二人以上の世帯に注目し、貯蓄額の平均や中央値、平均年収との関係などを年代別に見ていきます。年収が上がれば貯蓄しやすくなるものの、「貯蓄を意識」しなければ資産形成は困難です。
公的年金の平均年金受給額から、資産形成の重要性も一緒に考えてみましょう。
1. 【みんなの貯蓄額】30歳代・40歳代・50歳代《二人以上世帯の貯蓄》平均と中央値はいくら?
いずれは誰もが迎える老後。将来の生活を支える収入源は、公的年金だけでは足りず、自助努力が当たり前と言われる時代です。
では、現役で働く30~50歳代で二人以上の世帯は、どれくらいの貯蓄ができているのでしょうか。金融経済教育推進機構が公表する「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとに、貯蓄額の平均や中央値を確認してみましょう。
1.1 【30歳代 二人以上の世帯】貯蓄額と中央値
- 平均:677万円
- 中央値:180万円
30歳代・二人以上の世帯における平均貯蓄額は「677万円」です。
しかし、700万円以上の貯蓄を保有する30歳代・二人以上の世帯が25.7%である一方、貯蓄「ゼロ」世帯は24.5%です。56.5%の世帯が貯蓄300万円未満であり、平均値とは大きく異なっています。
そのため、30歳代・二人以上の世帯においては、中央値の「180万円」のほうが、みんなの実態に近い値と言えるでしょう。
1.2 【40歳代 二人以上の世帯】貯蓄額と中央値
- 平均:944万円
- 中央値:250万円
40歳代・二人以上の世帯における平均貯蓄額は「944万円」です。年収が上がりやすい年代でもあるため、30歳代よりも貯蓄額は増加しています。
しかし、30歳代と比較すると、貯蓄額「ゼロ」と「700万円」世帯の割合はともに増加し、貯蓄額に開きがあることが分かります。中央値は「250万円」、平均の約26.5%にまで下がります。
年収が増え始める40歳代は、家計の経済格差が強まってくる世代と推測できそうです。
1.3 【50歳代 二人以上の世帯】貯蓄額と中央値
- 平均:1168万円
- 中央値:250万円
50歳代・二人世帯以上の平均貯蓄額は、「1168万円」です。
700万円以上の貯蓄を保有する世帯は33.9%と増加しています。一方、52.6%と半数の世帯は400万円未満の貯蓄額です。その一方で、中央値は40歳代と同額の250万円にまで下がります。
50歳代・二人以上の世帯では、40歳代よりも経済格差が強まっていると考えられます。老後の生活を意識した資産形成について、じっくり考える時間を持つことが大切です。


