6. 暗証番号やキャッシュカードは“教えない”のが正しい判断

年末に家族で話し合う際、「いざというときのために暗証番号も伝えておこうか」と考える方は少なくありません。

しかし、これはむしろトラブルの原因になります。暗証番号の共有は金融機関も禁止・非推奨としており、死亡後に不正利用と見なされるリスクが格段に高まります。

本当に重要なのは、“資産がどこにあり、どの金融機関を利用しているか”を家族が把握していることです。

口座を使用できる状態にしておく必要はありませんし、そうするのはむしろ危険といえるでしょう。暗証番号やカード情報を伝えずとも、正式な相続手続きを踏めば家族は適切に資産を引き継ぐことができます。

7. まとめにかえて:年末にこそ「家族のお金の話」をしておく理由

年末の家族の集まりは、普段は避けがちな「お金」や「相続」の話を自然に始めるチャンスです。

制度的にも、名義人死亡後の預貯金の取り扱いや銀行手続きには明確なルールがあります。死亡届の提出だけでは完結せず、銀行の凍結や預金引き出しの可否、仮払い制度などを正しく理解しておくことが大切です。

帰省の機会を活かして、口座の所在や手続きの方向性を家族で共有しておくことで、いざというときに安心して年を越せるよう備えておきましょう。

参考資料

和田 直子