家族が集まる年末年始は、「もしものときのお金」を話し合う絶好のタイミングです。 特に関心の高まっている「相続登記の義務化(2024年4月開始)」についても、2026年にかけて周知や制度運用がさらに徹底される見通しとなっており、放置による罰則リスクを避けるためにも、実家の不動産や預貯金といった資産の棚卸しは避けて通れない課題となっています。

こうした節目にこそ、万が一のときの口座・預貯金の扱いや相続に関する基本の手続きを、家族で確認しておきましょう。特に、口座名義人が亡くなった場合の手続きには、誤った対処をすると後で大きなトラブルや法的な不利益を招く恐れがあります。

本記事では、なぜ死亡直後に口座から引き出すのが危険なのか、そしてこの年末に家族で必ず共有しておくべき「お金のチェックリスト」を分かりやすく解説します。

1. 死亡後に口座はどうなる?——銀行が行う“凍結”のしくみ

家族が亡くなると、銀行口座は名義人不在となるため、原則として利用が停止されます。

金融機関が死亡の事実を把握した時点で、入出金・引き落とし・振込などすべての取引が停止される「口座凍結」が行われます。

これは、相続人以外による不正利用を防ぎ、遺産分割を公平かつ適切に行うための措置であり、法律上も「勝手にお金を動かしてはいけない」というルールに基づくものです。

口座凍結は通常、死亡届や戸籍謄本の提出後に行われますが、提出前はATMで引き出せてしまう場合もあります。

このタイムラグがあるため、安易な出金は法律や相続の観点でリスクが高くなります。