2.1 介護保険制度の現状課題とは?

まず、介護費用は制度創設時の2000年度の3.6兆円から、2025年度には14.3兆円へと約4倍に急増する見込みです。この費用増加に伴い、制度を支える第1号保険料(65歳以上)は約2倍、第2号保険料(40〜64歳)は約3倍に上昇するなど、現役世代の負担が重くなっています。

また、介護職員の給与改善による人件費の増加も、給付費を押し上げる要因の一つです。

介護職員の給与などの変化

介護職員の給与などの変化

出所:財務省「社会保障②」

この財政状況を背景に、今後の制度改革では「負担の公平化」と「給付の適正化」が主な方向性となっています。特に、所得の高い高齢者に対しては、利用者負担の2割負担の対象範囲が拡大される方向で検討が進められており、これは現役世代の保険料負担増加を抑制する重要な柱です。

制度を持続可能にするため、自己負担のあり方についての議論は避けられません。