FOMCが年内の利上げ見送りを公表するも、株高にはつながらず

2019年3月22日の日経平均株価の終値は、前日より18円42銭高の21,627円34銭となりました。先週は21日の春分の日の祝日をはさみ、全般的には小動きでした。終値ベースでは、前週末と比べて176円あまりしか動いていません。

先週、注目されたのは連邦準備制度理事会(FRB)が19-20日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)です。年内の利上げを見送り、保有資産縮小も9月末で終える方針を示しました。通常、金利が低下すると米株高につながります。ただし、利上げ見送りは織り込み済みでした。

さらに、ダウ工業株30種平均は昨年の12月下旬の安値からかなり上昇し、昨年9月に付けた高値にも迫っていることから利益確定売りの動きも見られました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。懸念されるのは、FRBが景気予想を下方修正したことです。利上げゼロのハト派の姿勢となったのは先行きに不安があるため、と多くの投資家は捉えたようです。折しも、米債券市場では期間10年の金利が下落し、3か月物の金利を下回る「逆イールド」現象が起こりました。これは不況の予兆と見られています。

22日のダウ平均は前日比で460ドル下落しました。景気減速懸念で株価が伸び悩む中、米金利低下にともない、ドルが売られ円が買われる円高傾向になっているのも、日本株にとっては逆風が続きそうです。

また、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感もあり、注意が必要です。

一方で足元を見れば、今週26日は、2019年3月末の決算銘柄や配当金、株主優待などの権利確定銘柄の権利付最終売買日で、権利落ち日は翌27日となります。権利落ち日には、日経平均が約180円下落すると見られています。

戦略としては、配当落ち後の戻りに期待した物色もさることながら、米株の下落や円高を受けて週初に弱含むようであれば、手頃な価格で配当・優待を狙っていくという方法もあるでしょう。

狭いレンジでもみ合い、方向感が出しにくい展開

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週に5日移動平均線、25日移動平均線、75日移動平均線をいずれも回復した後は、これらの移動平均線に下値をサポートされるようにじりじりと上昇しました。

ただし、ローソク足の実体は長くありません。18日~20日の3日間のローソク足はほとんど十字になっています。22日も窓をあけて上昇して寄りついたものの、結局、前日の終値付近まで戻ってしまいました。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。現状は、3月13日の安値(21,198円)と3月4日の高値(21,860円)の間の狭いレンジの中でもみ合っているような状況で、なかなか方向感が出しにくいところです。本格的な出動は、このレンジをどちらかに抜けてから判断しても遅くないでしょう。

ただし、ここを下抜けても、3月11日の安値(20,938円)や21,000円付近は節になっているところであり、いったん下げ止まる可能性もあります。

逆に上を見れば、3月4日の高値を抜けると視界は広がっており、昨年12月3日の高値(22,698円)、さらには10月2日の高値(24,448円)あたりまで見えてきます。その過程で、目先意識されやすい22,000円あたりは過去にもみ合い、売買も積み上がっていることから抜けるにはパワーがかかりますが、抜けてしまえば強いサポートになることが期待できます。

今週26日は、配当金・株主優待などの権利付最終売買日です。このような日や前後はチャートを無視するような動きになることも多いので注意したいところです。

下原 一晃