「老後は年金だけでゆとりある暮らしを」と考える人も少なくないでしょう。

しかし実際は、年金収入のみで生活をまかなえている人は多くなく、厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金だけで生活している人は全体の43.4%にとどまっています。

つまり、半数以上の高齢者が貯蓄を取り崩したり、働き続けることで生活費を補っているのが現状です。

少子高齢化や低年金が続く現代においては、シニアの就労が一般的になりつつありますが、働くシニアに関する「公的な制度・給付支援」があることをご存知でしょうか。

本記事では、働くシニアが知っておきたい「公的制度」や「給付支援」について解説します。

1. 【働くシニアの現状】65歳以上の就業者数は過去最多!21年連続で増加傾向に

高齢化の加速や年金額の実質的な減少、さらに物価上昇の影響もあり、年金受給開始後も働く高齢者は年々増えています。

総務省「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」によると、2024年における65歳以上の就業率は25.7%。

つまり、65歳を過ぎても約4人に1人が働き続けているのです。

さらに、同資料によれば、2024年の65歳以上の就業者数は930万人に達し、過去最多を更新しています。

2004年以降、シニアの就業者数は21年連続で増加しており、毎年のように過去最高を更新しています。

「元気なうちは働いて老後資金を補う」という考え方は合理的に見えますが、収入が一定額を超えると在職老齢年金制度により、年金の一部が支給停止となる場合があるため注意が必要です。

次章では、年金額が一部減額される仕組みである「在職老齢年金制度」と、反対に年金が毎年増えていく「在職定時改定」について詳しく解説します。