3. 在職老齢年金の基準額変更で「繰下げ受給」を選ぶ人は減る?

在職老齢年金の基準額が引き上げられたことで、働きながらでも老齢厚生年金を受け取りやすくなり、65歳から受給を始める人が増える可能性があります。

しかし、この変更がそのまま「繰下げ受給を選ぶ人が減る」ことにつながるとは言い切れません。

繰下げ受給は、受給開始を遅らせるほど年金額を上乗せできる制度であり、在職老齢年金の調整とは別に機能しています。

受給開始を1カ月遅らせるごとに、年金受給額が0.7%増額となる仕組みです。

繰下げ増額率早見表

繰下げ増額率早見表

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」

将来の年金額を増やしたい人や、働き方に合わせて受給開始時期を調整したい人にとっては、依然として有力な選択肢といえます。

そのため、今回の改正によって繰下げ受給の利用が大幅に減るとは限らず、判断は収入状況や老後の生活設計によって分かれると考えられます。