「75歳以上・後期高齢者医療制度」10月から1割→2割に移行して実質負担が増えた人も。シニアの1人あたりの「医療費」は平均いくら？

4. シニアの1人当たりの「医療費」は平均いくら？

本章では、厚生労働省の「年齢階級別1人当たり医療費（令和4年度、医療保険制度分）」をもとに、60歳以上の年代ごとの年間医療費総額と、診療費に占める「入院＋食事・生活療養費」の割合を確認してみましょう。

年齢階級別1人当たり医療費（令和4年度、医療保険制度分）

シニア世代では、年齢が上がるにつれて医療費が増えていく傾向があります。

医療費の総額は、60歳代前半の約38万円から、90歳代後半には125万円超へと増え、見込みではおよそ3.3倍に達しています。

特にこの増加を押し上げているのが、「入院＋食事・生活療養」にかかる費用です。

70歳代までは外来中心の医療利用が多い一方、80歳を超えると医療費のうち半分以上が「入院＋食事・生活療養」に分類される支出となり、90歳代ではその割合が7割近くに達します。

なお、高額療養費制度を利用しても、毎月の自己負担限度額に加え、入院時の食事代や差額ベッド代（いずれも自己負担）が続く点には注意が必要です。

今回は、75歳以上の方が加入する「後期高齢者医療制度」を振り返り、60歳以上の年齢層ごとの医療費を確認しました。

後期高齢者医療制度は75歳になると自動的に切り替わり、保険料や自己負担割合は所得に応じて決まります。

年齢が上がるにつれて医療費は増加し、特に入院や食事・生活療養にかかる費用の割合が高くなる傾向があります。

こうした変化を理解しておくことで、将来の医療費負担を見据えた準備がしやすくなります。年末は、保険や医療制度を見直す良い機会です。ぜひこのタイミングで、自分や家族の状況を確認してみてください。

中本智恵