街路樹の葉が色づき、やがて冬枯れを迎える11月。師走を前に、ご自身の老後資金について不安を感じていませんか?
公的年金の受給額や、周囲の貯蓄事情はなかなか見えにくく、「ゆとりある老後」を送れるのか、漠然とした不安を抱える40歳代・50歳代は少なくありません。
この記事では、70歳代の二人以上世帯の最新の貯蓄事情を「平均1923万円・中央値800万円」という大きな乖離に着目して深掘りします。
また、シニアの年金事情や、リタイア夫婦世帯の生活費データなども俯瞰。最新の家計収支から見えてくる老後生活の「毎月の赤字額」も明らかにします。
さらに、2025年6月に成立した「年金制度改正法」が私たちの働き方に与える影響も確認し、不安を具体的な行動につなげるヒントをお届けします。
1. 70歳代シニア夫婦の貯蓄格差「平均1923万円>>中央値800万円」のリアル
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」の「70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)」をグラフを交えて確認していきます。
※金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
1.1 【グラフ付き一覧表】70歳代、貯蓄の世帯差を見る!ギャップを裏付ける「老老格差」の正体
「70歳代・二人以上世帯」の平均貯蓄額は1923万円ですが、この数字は一部の富裕層によって押し上げられており、実際の生活水準とは乖離している可能性があります。
より実態に近いとされる中央値は800万円であり、多くの世帯の貯蓄額がこの水準に集中していることがうかがえます。
世帯ごとの貯蓄額分布は以下のとおりです。
- 金融資産非保有:20.8%
- 100万円未満:5.4%
- 100~200万円未満:4.9%
- 200~300万円未満:3.4%
- 300~400万円未満:3.7%
- 400~500万円未満:2.3%
- 500~700万円未満:4.9%
- 700~1000万円未満:6.4%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:8.9%
- 3000万円以上:19.0%
- 無回答:3.5%
70歳代・二人以上世帯の中で最も多いのは、金融資産を保有していない「貯蓄0円」の世帯で、全体の20.8%を占めています。一方で、3000万円以上の貯蓄を持つ世帯も19.0%存在しており、世帯間の資産状況には大きな差があることがわかります。
その他の分布を見ると、100万円未満が5.4%、100~200万円未満が4.9%、200~300万円未満が3.4%と、貯蓄が少ない世帯も一定数存在します。一方で、1000~1500万円未満が10.2%、1500~2000万円未満が6.6%、2000~3000万円未満が8.9%と、まとまった資産を保有する世帯も見られます。
このように、貯蓄額は退職金や収入履歴、相続、健康状態などによって大きく異なり、公的年金の受給額も現役時代の加入状況により個人差があります。貯蓄が少ない世帯にとっては、年金収入だけで生活を維持するのが難しいケースもあるでしょう。
老後の安定には、世帯の状況に応じた生活設計が欠かせません。たとえば、健康なうちはパートなどで収入を得たり、不動産や投資による副収入を検討したりと、早めの準備が安心につながります。
