日々の暮らしのなかで、食料品や日用品、ガソリン代など身近な商品の値上がりを実感する場面が著しく増えています。

実際、帝国データバンクが公表した最新の「食品主要195社」価格改定動向調査によると、2026年8月の飲食料品値上げは2311品目に達し、平均値上げ率は15%を記録しました。

これは前年同月の1262品目から約8割増という大幅な急拡大であり、7月の2664品目に続いて2カ月連続で2千品目を超える激しい値上げラッシュとなっています。

さらに来月9月には単月で年内最多となる4531品目の大規模な値上げが控えており、家計への負担は今後さらに深刻さを増す見通しです。

1/4

各種資料をもとに筆者作成

各種資料をもとに筆者作成

このようなインフレ局面においては、仮に100万円を「元本保証の定期預金」に置いて金利がつかないまま眠らせていても、お金の実質的な購買力が低下し、モノやサービスを買う価値が目減りしている(実質的な購買力の目減りリスクを負っている)ことを意味します。

家計の消費支出に占める生活必需品(食料、光熱・水道など)の割合を示すエンゲル係数も高水準で推移しており、生活への余裕のなさが浮き彫りになっています。

これまで日本では「元本が減らない預貯金こそが最も安全な資産防衛」という考え方が主流でもありました。

しかし、長寿化とインフレが同時進行する「人生100年時代」においては、ただ貯めるだけでなく、インフレに負けないスピードで資産を育てていく攻めの姿勢が求められます。

そこで、資産防衛手段の一つとして注目されているのが、運用益が完全に非課税になる「新NISA(少額投資非課税制度)」の活用です。

この記事では、無理のない積立シミュレーションの比較から、最新の生活者世論、そして老後に向けた賢い「資産の出口戦略」まで、これからの時代を生き抜く資産形成のヒントを詳しくご紹介します。

※本記事は一部「【新NISAシミュレーション】月10万円×15年積立+放置で資産はどう化ける?月3万円の少額戦略も公開」を引用のもと執筆しています。

ココがポイント
  • 【インフレ局面の資産防衛】 2026年8月は2311品目、9月には年内最多の4531品目の値上げが控え、預貯金だけでは資産価値が実質的に目減りするリスクに直面しています。
  • 【積立シミュレーション比較】 年利3%の複利試算では、月10万円×15年(元本1800万円)で約3525万円、月3万円×40年(元本1440万円)で約2752万円となり、投資額よりも「運用期間(時間)」こそが強力な味方になります。
  • 【使いながら守る出口戦略】 75歳以上の後期高齢夫婦は毎月約2.7万円の赤字を貯蓄から補う実態があり、インフレ下で資産寿命を延ばす「4%ルール(デキュムレーション)」の視点が不可欠です。

1. 【新NISA】積立シミュレーション:月10万円(15年) vs 月3万円(40年)

積立投資は元本が保証されているわけではありませんが、長期・積立・分散の基本を守ることで、一時的な市場の下落を乗り越え、着実な資産形成につながる可能性が高まります。

金融庁の「NISAの活用事例」などを参考に、つみたて投資枠を活用し、将来の運用成果をシミュレーションしてみましょう。

1.1 シミュレーションA:月10万円を15年積立 →その後15年ほったからしで運用した結果

【シミュレーション条件】月10万円を15年間積立 → その後15年間放置(年利3%)2/4

シミュレーション

出所:金融庁「NISAの活用事例」

  • 積立期間:15年(元本1800万円)
  • 運用継続期間:15年(追加積立なし)
  • 想定金利:年利3%(複利)
  • 最終資産額:約3535万円(運用益:約1735万円)

現役時代に15年間集中して非課税枠を埋め、その後は売却せずに3%で推移したと仮定した場合、時間を味方につけた複利効果により、資産額は約3535万円に達すると試算されています。

1.2 シミュレーションB:月3万円を40年間コツコツ積立投資した結果

毎月10万円といったまとまった金額の積立が難しい方でも、より少額から無理のない範囲で始めることは十分に有効です。

【シミュレーション条件】月3万円を40年間積立(年利3%)3/4

シミュレーション

出所:金融庁「NISAの活用事例」

  • 積立期間:40年
  • 想定金利:年利3%(複利)
  • 最終資産額:約2752万円(元本:1440万円、運用益:約1312万円)

毎月3万円を40年間にわたって積み立てたケースでは、同じく年利3%での運用が続いたと仮定すると、最終的な資産額は約2752万円に達すると試算されています。

月3万円であれば、日々の使っていない無駄な支出(使っていないサブスクやスマホ料金のプランなど)を少し見直すことで捻出できる方も多いのではないでしょうか。

投資金額が大きくなくても、運用できる「時間」そのものが資産形成を支える大きな力になるのです。

2. 筆者からのコメント

熊谷 良子

シミュレーションを見ると夢が膨らみますが、投資において最も大切なのは「最初にどれだけまとまった資金を用意できるか」ではなく、「どれだけ早く始め、長く時間を味方にできるか」という点です。

実際の市場は常に値動きがあり、思うように増えない時期や一時的な元本割れを経験することもあります。しかし、長期でコツコツと積立を続けることで、購入時期が分散され、結果的に平均購入単価を抑える効果(ドル・コスト平均法)が期待できます。

生涯非課税枠の1800万円を使い切ること自体を目標にせず、まずは月5000円や1万円といった家計に負担のない少額からでも「お金が自動で働いてくれる仕組み」を生活に組み込んでみること。その小さな一歩が、インフレから大切な資産を守る強固な盾になってくれます。

※新NISAの仕組みについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事【新NISA】毎月5万円を15年運用するといくら?50歳から始める利回り別シミュレーションもあわせてご覧ください。

【新NISA】毎月5万円を15年運用するといくら?50歳から始める利回り別シミュレーション
【新NISA】毎月5万円を15年運用するといくら?50歳から始める利回り別シミュレーション