晩秋の冷え込みが深まり、冬の訪れとともに家計への物価高がますます気になります。
帝国データバンクは、食材費だけでなく、調理にかかる光熱費・水道代までを含む総合的な生活コストの指標として、「カレーライス物価指数」を毎月公表しています。
2025年11月10日に公表された9月時点での「カレーライス物価」はカレー1食あたり438円、4カ月ぶりの値上がりとなりました。
新米価格や野菜類の価格高騰を背景に、この冬には過去最高値(1食460円台)に到達する見込みです。
こうした物価高が続く今、年金に頼って生活するシニア世帯はどのような状況にあるのでしょうか?
この記事では、65歳以上のシニア世帯のお金事情を、総務省の家計調査データをもとに解説。物価高に直面するシニア層の家計構造や、現役世代が知っておくべき資産の守り方について考えていきます。
1. 平均3.4万円の赤字!65歳以上・無職夫婦世帯のリアルな家計収支
総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上の無職夫婦世帯の平均的な家計収支を見ていきます。
1.1 【家計収支】65歳以上の夫婦のみの無職世帯(2024年)
収入:25万2818円
■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円
支出:28万6877円
■うち消費支出:25万6521円
- 食料:7万6352円
- 住居:1万6432円
- 光熱・水道:2万1919円
- 家具・家事用品:1万2265円
- 被服及び履物:5590円
- 保健医療:1万8383円
- 交通・通信:2万7768円
- 教育:0円
- 教養娯楽:2万5377円
- その他の消費支出:5万2433円
- うち諸雑費:2万2125円
- うち交際費:2万3888円
- うち仕送り金:1040円
■うち非消費支出:3万356円
- 直接税:1万1162円
- 社会保険料:1万9171円
家計収支
- ひと月の赤字:3万4058円
- エンゲル係数:29.8%
- 平均消費性向:115.3%
この夫婦世帯の家計は、総収入25万2818円に対し、総支出が28万6877円と上回っており、毎月3万4058円の赤字が生じています。
収入の約9割を公的年金などの社会保障給付(22万5182円)が占めていますが、可処分所得のすべてを生活費に充てても足りない状況です(平均消費性向115.3%)。
そのため、不足分は貯蓄を取り崩してカバーしているのが実情です。

