11月に入り、年末の足音が聞こえてくると、家計や来年の暮らし方を見直す機会が増えてきますね。特に退職後の生活を考え始めた方にとって、公的年金の仕組みをきちんと理解しておくことはとても大切です。
この記事では、国民年金と厚生年金の違いや、それぞれの加入対象、受け取れる金額の差などをわかりやすく整理しました。さらに、最新の統計をもとに、シニア世代の平均年金月額についてもご紹介します。
年金の基本を知ることで、将来への不安が少しでも軽くなり、安心して暮らしの計画を立てられるようになるはずです。
1. 「公的年金制度」の仕組みをおさらいしよう
公的年金は偶数月の15日に2カ月分まとめて支給されます。
ただし、15日が土日祝日にあたる場合は、直前の平日が振込日となります。
日本の年金制度は「2階建て構造」を採用しており、1階部分が全国民対象の「国民年金(基礎年金)」、2階部分が会社員や公務員が加入する「厚生年金」です。
ここでは、それぞれの加入対象、保険料、受給額の仕組みについて詳しく見ていきます。
1.1 国民年金(1階部分):加入対象・保険料・老後の受給額を確認しよう
- 加入対象:日本に住む20歳以上から60歳未満の全ての人が原則加入
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:40年間欠かさず納めれば満額(※2)
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被保険者:第1号~第3号に分かれる(※3)
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
※3 第1号被保険者は農業者・自営業者・学生・無職の人など、第2号被保険者は厚生年金の加入者、第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者
1.2 厚生年金(2階部分):加入対象・保険料・老後の受給額を確認しよう
- 加入対象:会社員や公務員、またパート・アルバイトで特定適用事業所(※4)に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入
- 年金保険料:収入に応じて決まり(※5)、給与からの天引きで納付
- 老後の受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり
- 被保険者:第1号~第4号に分かれる(※6)
※4 1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※5 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※6 第1号は、第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人、第2号は国家公務員共済組合の組合員、第3号は地方公務員共済組合の組合員、第4号は私立学校教職員共済制度の加入者
次章では、厚生労働省の資料をもとに、シニア世代の「平均年金月額」を紹介します。
