2. 【どんな点が見直しに?】2025年「年金制度改正法」が成立!

2025年6月13日に成立した年金制度改正法は、個々のライフスタイルの変化に対応しながら、老後の安心と所得保障を拡充することを目的としたものです。

以下では、今回の改正で特に注目すべき見直しポイントを整理して紹介していきます。

2.1 年金制度改正の「主な見直しポイント」を見る

年金制度改正の全体像

年金制度改正の全体像

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

社会保険の加入対象の拡大

  • 短時間労働者の加入要件(賃金要件・企業規模要件)の見直し(年収「106万円の壁」撤廃へ)

在職老齢年金の見直し

  • 支給停止調整額「月62万円」へ大幅緩和(2025年度は月51万円)

遺族年金の見直し

  • 遺族厚生年金の男女差を解消
  • 子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする

保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

  • 標準報酬月額の上限を、月65万円→75万円へ段階的に引き上げ

私的年金制度

  • iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)
  • 企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)
  • 企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)

これらの改正を通しても、公的年金制度が現役世代の働き方や将来のライフプランと深く関わっていることがわかります。

一方、シニア世代にとっては、就労環境が整備されつつある一方で、医療費や介護費などの負担が増え始める時期でもあり、健康面への不安が高まるケースもあります。

そのため、貯蓄を取り崩しつつ年金で生活する世帯の増加も懸念されます。

こうした背景を踏まえると、計画的な資産形成と、将来を見据えた家計管理がますます重要になってくるといえるでしょう。

次章では、70歳代世帯における貯蓄状況の実態について詳しく見ていきます。