7. 家計に役立つ「エンゲル係数」って何?
「エンゲル係数」は、生活費のうち食費が占める割合を示す指標で、計算方法は非常にシンプルです。
エンゲル係数=食費÷消費支出×100(%)
たとえば、1か月の消費支出が10万円、そのうち3万円を食費が占めている場合、エンゲル係数は「30%」となります。
この数値が高いほど、家計における食費の負担が大きく、自由に使えるお金が少ない、つまり「生活に余裕がない」と判断される傾向があります。
理由としては、収入が少ないほど生活必需品である食費の比率が高まり、娯楽費や教育費などに回す余裕がなくなるためです。
反対に、所得が増えると支出の幅が広がり、食費の割合は低下するため、エンゲル係数も下がりやすくなります。
ただし、エンゲル係数は年齢や家族構成によっても変動しやすく、たとえば子育て世帯では成長期の子どもによって食費が増え、数値が高くなりやすい一方、高齢世帯では総支出が少ない分、食費の比率がほかの支出と比べて高くなることがあります。
エンゲル係数が急に上昇したときは、食費が増えたのか、あるいは他の支出を抑えざるを得ない状況なのか、家計の見直しを検討するタイミングといえるでしょう。
8. まとめにかえて
ここまで、70歳代世帯の「貯蓄額の平均」と「中央値」について見てきました。平均値は資産を多く持つ一部の世帯に引っ張られやすい一方で、中央値はより実態に近い目安になることが分かります。つまり、同じ70歳代でも資産の差はかなり大きいということです。
老後の生活設計を考えるときは、こうした統計を参考にしながらも、自分自身の収入や支出、ライフスタイル、将来の見通しを踏まえて、無理のない計画を立てることが大切です。ぜひ、これからの資産管理や家計の見直しに役立ててください。
※この記事は再編集記事です。
参考資料
- LIMO「「生活苦しい」高齢者は55.8%【70歳代・二人以上世帯】貯蓄の平均と中央値・月の生活費・年金月額はいくらなのか?」
- 厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」
- 厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
- J-FLEC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 国税庁「相続税のあらまし」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明
筒井 亮鳳