「知らないだけで損をするかもしれない」シニア向けの給付金制度があることをご存じでしょうか。年金額が低額の方向けの年金生活者支援給付金、60歳以降も働く方への高年齢雇用継続基本給付金など、申請しなければ受け取れない制度が数多く存在します。

給付金や支援金などの制度を活用しつつ、物価高騰時代に資産の実質的な価値を守るための運用方法についても詳しくお伝えします。

1. 【シニア向け】申請しないともらえない給付金や支援金制度5選

年金や雇用保険などの社会保険制度の中には、シニア向けの給付金制度が設けられています。

1.1 年金生活者支援給付金

年金生活者支援給付金は、受給できる年金額が低額の方や所得が一定以下の方へ支給される給付金です。

年金生活者支援給付金の手続きについて

年金生活者支援給付金の手続きについて

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金特設サイト」

年金生活者支援給付金は、公的年金の上乗せとして偶数月に支給されます。受給できる金額は受け取っている年金の種類や所得状況などに応じて異なり、多い方では年額6万円程度にもなります。

1.2 高年齢雇用継続基本給付金

高年齢雇用継続給付金は、雇用保険に加入しながら働いている、60歳以上65歳未満の方が対象となる給付金です。60歳以降に継続雇用されている高齢者の、生活と就労意欲を支えるための制度です。

60歳以上65歳未満の方の賃金が60歳到達時の75%未満のとき、最高で賃金額の10%に相当する金額が支給されます。

高年齢雇用継続基本給付金について

高年齢雇用継続基本給付金について

出所:ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付」

たとえば、60歳到達時の賃金が40万円で60歳以上65歳未満の賃金が20万円の場合、支給額は「20万円×10%=2万円」です。

1.3 高年齢求職者給付金

高年齢求職者給付金は、65歳以上の方が失業したときに支給される雇用保険給付です。高齢者が離職した際に、再就職活動を支援するために支給される失業給付金です。

離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上あり、就職の意思がある方が支給対象となります。

支給額は、被保険者であった期間に応じて基本手当に相当する額の30日分または50日分です。

1.4 厚生年金の加給年金

厚生年金の加給年金とは、65歳に到達した時点で65歳未満の配偶者や18歳到達年度の末日までの間の子がいるとき、厚生年金に上乗せされる年金です。

  • 配偶者:23万9300円
  • 1人目・2人目の子:各23万9300円
  • 3人目以降の子:各7万9800円

受給する際には、年金事務所へ「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」を提出する必要があります。自動的に支給されるものではないため、注意してください。

1.5 高齢者住宅改修費用助成制度

高齢者住宅改修費用助成制度は、介護保険制度から支給される給付金です。要介護・要支援認定を受けた高齢者が、自宅で安全かつ快適に生活を続けられるように支援する趣旨があります。

要介護者が以下の住宅改修を行ったとき、工事費用の原則9割(最大18万円)が支給されます。

  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
  • 引き戸等への扉の取替え
  • 洋式便器等への便器の取替え

申請には、事前にケアマネジャーへの相談が必要です。具体的にどのようなリフォームが必要なのかを話し合ったうえで、工事に着手しましょう。