5.1 繰下げ受給とは
老齢年金は一般的に65歳から受給することになりますが、開始年齢を遅らせることで年金額が増やせます。
開始時期が遅いほど増額されていき、最大で75歳から受給開始すると、年金額は82%(=0.7%×120ヶ月)も増えます。
「長生きリスク」なる言葉も出てきた長寿時代において、終身で受け取れる年金額が増えるのは心強いと言えるでしょう。
5.2 繰下げ受給の注意点
ただし、繰下げ受給にはいくつか注意点があります。
当然ながら繰下げ待機を行ったあと短期間で亡くなった場合、年金の総受給額が少なくなってしまいます。
また、待機している間は収入が途絶えてしまうため、その間を過ごせる収入や貯蓄があることが前提になります。
さらに「在職老齢年金によって支給停止された年金は増額しない」点や、「加給年金は増額されない」という点にも注意しましょう。
6. まとめにかえて
年金の平均受給額について深堀りしていきました。
特に厚生年金において、一般的な老齢年金受給開始年齢である65歳を境に、年齢が高いほど平均受給額が上昇していることがわかります。
時代とともに年金の乗率は変動していきますが、今後も減少していく可能性は考えられるでしょう。
年金は個人差が大きいため、自分自身の見込額を知ることがとても重要です。
参考資料
- 厚生労働省「いっしょに検証!公的年金 公的年金の仕組み」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 日本年金機構「老齢年金ガイド 令和7年度版」
太田 彩子
