欧米の株安、円高傾向などを受けて大きく下落

2019年3月8日の日経平均株価の終値は、前日より430円45銭安の21,025円56銭となりました。大発会の1月4日に次ぐ、今年2番目の大きな下げ幅です。

週初月曜日は、米中貿易協議の進展への期待から一時200円を超えて上昇。しかし5日に3日ぶりの反落となると、その後は4日連続の続落となりました。

背景としては欧州や米国などの株式相場が下落していることが挙げられます。7日には欧州中央銀行(ECB)の理事会で、2019年のユーロ圏経済成長率見通しが発表されましたが、3か月前時点の見通しから0.6ポイント下方修正され1.1%となりました。投資家の間に景気の減速感が広がり、幅広く売られました。

米国株についても、7日のダウ工業株30種平均が4営業日続落、さらに外国為替市場で円相場が1ドル=111円台前半と円高・ドル安に進んだことから、日本株も売られました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。一つ懸念されるのは、米雇用統計の結果です。米労働省が8日朝に発表した2月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回りました。これを受けて8日のダウ平均は5日続落、為替市場ではドルが売られ、円が買われて、円相場は3日続伸しました。今週初に日本株も連れ安になる可能性があり、注意が必要です。

ただし、中期的に見れば、米株も日本株も12月の下旬以降、ずっと上昇が続いていましたので、ようやくの上昇一服と見ることもできます。特に米株はダウ平均が昨年10月に付けた史上最高値に迫る勢いで、過熱感もありました。楽観はできませんが、ここから大きく反落するというよりは、さらなる上昇に向けた、いったんの押しと見ることもできます。

米中の通商協議については、3月末か4月上旬に米中首脳会談が開かれる予定です。内容によって協議が大幅に進展し貿易摩擦の解消につながる可能性もがあります。

ローソク足の実体が25日線と75日線をいずれも割り込む

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。週初4日は窓をあけて上昇し、先週の高値を更新しました。しかし、その後は短い陰線が続き、じりじりと下落。8日には長い陰線となり大きく下げました。

この動きで、5日移動平均線だけでなく、25日移動平均線、75日移動平均線も、ローソク足の実体が割り込んでしまいました。

8日には一時、目先意識されやすい21,000円を割り込みました。ただし先週には、25日線が75日線を下から上に抜けるゴールデンクロスが形成され、まだ維持されています。ゴールデンクロスが形成されたのは2018年の9月上旬以来です。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。一つ心配なのは、75日線をローソク足の実体が下抜けたこと。10月2日に高値を付けた後の下落局面では、この75日線に何度も上値を押さえられています。

しかし、これまでの展開と異なるのは、これまでは10月上旬から12月下旬までの中期的な下降トレンドの間での戻り売りだったことです。現在は上昇トレンドに転じていることから、ある程度の調整があったとしても押し目買いが入る可能性が高くなっています。

上昇トレンドが崩れるには、2月8日の安値(20,315円)を割り込むことが条件になります。逆に言えば、そこまでは押し目買いのチャンスと見ていいでしょう。

逆に上値めどとしては、先週3月4日の高値の21,860円、目先意識されやすい22,000円あたりになるでしょう。さらにその後12月3日の高値(22,698円)も突破するようであれば、今よりもさらに大きな上昇トレンドが形成されることになり、23,000円台など、一段上のステージへの期待も高まります。

下原 一晃