秋も深まり、朝晩は肌寒さを感じる日が増えてまいりました。退職後のセカンドライフを目前に控える方の中には、特に「年金生活でのお金のこと」に関心が高まることもあるのではないでしょうか。

来月12月15日の年金支給日が近づくなか、お金の動きに注目が集まります。公的年金は、現役時代の給与よりも少ない金額になるため、生活水準が変わるほか、住民税の課税状況も変化する可能性があります。

住民税は所得が一定額以下の場合に非課税になりますが、その要件を満たせる年金収入額はいくらなのでしょうか。この記事では、65歳以上の人の住民税が非課税になる年金受給額について解説します。

1. 住民税非課税世帯、65歳以上「年金収入のボーダーライン」とは?

住民税非課税になる年金収入のボーダーラインを、単身世帯・夫婦世帯に分けて見てみましょう。

住民税非課税になる年金受給額とその内訳

住民税非課税になる年金受給額とその内訳

出所:国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」東京都主税局「個人住民税」をもとに筆者作成

単身世帯:155万円まで(月額約12万9000円まで)

  • 公的年金等控除:110万円(65歳以上)
  • 東京23区の住民税非課税基準:45万円

夫婦世帯:211万円まで(月額約17万5000円まで、配偶者は月額約12万9000円まで)

  • 公的年金等控除:110万円(65歳以上)
  • 東京23区の住民税非課税基準:(35万円×2)+31万円=101万円

 ※配偶者の年金収入は155万円以下であること

単身世帯は月額約12万9000円、夫婦世帯は自身が月額約17万5000円(配偶者の年金収入が155万円以下の場合)までなら住民税がかかりません。このように、65歳以上は公的年金等控除額が大きいため、課税対象から外れる可能性があります。

ただし、住民税が非課税になる所得要件は自治体ごとに異なります。そのため、人によっては月額約12万9000円、もしくは月額約17万5000円でも住民税がかかる可能性があります。

1.1 パート収入がある場合

年金を受け取りながら働いている人もいるでしょう。この場合は、パート給与が55万円以下であれば住民税はかかりません。住民税の所得計算で適用される「給与所得控除」の最低保障額が55万円のためです。

そのため、年金+給与の合計が単身世帯は210万円までなら、夫婦世帯は266万円までなら住民税がかかりません。

次章では、住民税が非課税になる要件を解説します。