「親の心子知らず」という言葉があるように、親子の間にはいつの時代でも価値観のギャップが存在しているようです。
では、Z世代とその親世代の間で、「親子だからこその思い込み」や「認識のズレ」はどの程度あるのでしょうか。
今回は、親子の意識調査データをもとに、お互いの理解を深めるために知っておきたい世代間のギャップを解説します。
1. 親が感じるほど「価値観のギャップ」はない?
日本インフォメーション株式会社が実施した、「Z世代のイマ~子どもと親の価値観ギャップ~」の調査を見ていきましょう。
1.1 調査概要
- 調査地域:日本全国
- 調査対象:16~69才男女
- 調査実施期間:2025年4月18日~4月21日
- 調査手法:インターネットリサーチ
- サンプルサイズ:有効回収計 1,015サンプル
1.2 親のほうが「価値観の違い」を感じている
まず、子どもと親が、お互いに価値観の違いを感じているかを見てみましょう。
子どもが父親との価値観の違いを「感じる」人は60.3%、母親との価値観の違いを「感じる」人は55.4%でした。子どもは、母親よりも父親のほうが価値観の違いを感じているようです。
反対に、父親が子どもとの価値観の違いを「感じる」人は67.0%、母親が子どもとの価値観の違いを「感じる」人は64.4%でした。親からは、父母ともに6割を超える人が子どもとの価値観の違いを感じていることがわかります。
注目すべき点は、親が子どもに対して感じるギャップの方が、子どもが親に対して感じるギャップよりも大きいこと。
親は「自分は子どもと価値観が違う」と強く意識しながら接することで、子どもの考えを尊重し、良いコミュニケーションを取ろうとしている結果だと考えられます。
2. 価値観の違いを受け入れやすいのは親?
子どもが親との価値観の違いを「受け入れられる」と感じる割合は、「進路についての考え」が50.0%、「仕事・キャリアについての考え」が39.3%というように、具体的な将来に関するテーマで比較的高くなっています。
しかし「子育てについての考え」が31.8%、「多様性についての考え」が37.7%というように、個人の生き方や社会観に関わるテーマでは、違いを受け入れられると感じる割合が相対的に低くなっています。
親子であっても、より本質的な価値観に関するテーマは少し話しにくく、そもそも価値観の違いを理解しにくいこともあるのでしょう。
一方で、親は「子育てについての考え」が65.2%、「多様性についての考え」が66.7%というように、様々な観点において子どもとの価値観の違いを受け入れられるとしています。
こうした話題では子どもと親の間で、価値観の違いの受容度にも違いがあることがわかります。
親子間でギャップが少ないのは、「お金の使い方」や「時間の使い方」といった日常に近い内容のようです。
では、こうした価値観の違いを理解するためにも大切な「コミュニケーション」について、親子間の認識の違いを見ていきましょう。
3. 親子間のコミュニケーションの認識にも違い
親子の関係性やコミュニケーションに対する認識にも、親子間で違いが見られます。
3.1 「仲の良さ」は親のほうが良好に感じている
「仲の良さ」について「仲が良い」と回答した親は79.3%に上りましたが、子どもは67.1%に留まりました。親子間で12.2ポイントの差があり、親の方が子との仲の良さを感じているようです。
先ほど見たように、親は「子どもと価値観が違う」ことを前提として持つ傾向が強いため、それを受け入れ、関係をとらえているのだと考えられます。その一方、子どもは親が言ったことを一つ一つ気にしてしまうのではないでしょうか。
3.2 子どもは「コミュニケーション不足」だと感じる
「コミュニケーションが取れていると思うか」という問いでは、親が「取れている」と回答した割合が72.3%であるのに対し、子どもは64.1%と、こちらも8.2ポイントのギャップが生じています。
親も積極的にコミュニケーションを取ろうと試みていると思いますが、子どもは「まだ足りない」と感じているのかもしれません。
親が話したいことや聞きたいことは、必ずしも子どもが話題にしたいことというわけではありません。子どもが話すことに耳を傾け、一緒に考える時間も増やしてみてはいかがでしょうか。
4. 仕事・キャリア観では子どものほうが「保守的」?
仕事やキャリアに関する価値観にもギャップがあります。
4.1 勤務地へのこだわり
「勤務地にこだわらない」と回答した子どもは37.8%であるのに対し、親は55.2%であり、子どもの方が「実家(地元)の近くで働きたい」と思っていることがわかります。
海外勤務についても、希望する子どもは32.3%であるのに対し、「海外で仕事をするのもよいと思う」と回答した親は51.3%に上りました。
親世代では、勤務地や働き方の選択肢が今ほど広くはなく、子どもには選択肢を広く持っていてほしいという思いがあるのかなと思います。
ただ、子どもの立場からすると、居心地が良いのはやはり地元で、海外はなおさらハードルが高いのだと考えられます。
4.2 勤務先への意識
子どもは「大企業や公務員など安定した仕事に就きたい」と回答した人が60.1%であるのに対し、親は66.8%と、親の方が子どもの安定志向をより強く望んでいることがわかります。
さらに「1つの会社で長く勤めたい」という考え方については子どもが58.7%でした。「1つの会社で勤めてほしい」と回答した親は56.6%で子どもとほぼ変わりなく、転職が一般的となった今でも、1つの会社に勤めたいという思いを持つ人も多いようです。
仕事やキャリアについては、子どもは現実的な回答をしているのに対し、親は子どものためにより良い選択肢を取ってほしいという願いが込められているようにも思われます。
そのため、一概にギャップがあるというよりは、子どもの意向を汲んだ結果とも言えます。ギャップがあると感じた時には、子どもの話を聞いてみることが大事かもしれませんね。
5. まとめ
価値観の違いについて、親のほうが感じていると回答した人が多く、子どもとの接し方を悩んでいる親が多いのだと考えられます。
子どもからは「コミュニケーション不足」の声が多く、それが仲の良さに対する不満や価値観の違いにつながっているのでしょう。親子双方とも、お互いを理解する最初のポイントは「コミュニケーションをとる」ことかもしれませんね。
参考資料
LIMO・U23編集部