2. 老後に働いても手取りが増えない理由
老後に働いても手取りが増えない理由は、社会保険料や税金の金額が、収入に比例して増えるためです。とくに社会保険料については、算定基準が変わるのも影響していると考えられます。
会社員の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料)は、給与を一定の金額ごとに区分した「標準報酬月額」に保険料率を掛けて算出します。しかし、国民健康保険料や65歳からの介護保険料は、前年の所得にもとづいて決まるようになっています。よって、収入や所得が増えるほど、保険料額も上昇するのです。
所得税・住民税についても、社会保険料と同様に前年の所得をもとに決定します。収入が増える前までは非課税でも、働いて収入が増えたことで課税対象になり、手取りが減る可能性があります。また、所得税は一定の区分で税率が決められているため、収入額によっては税率が上がり、税額が高くなる場合もあるでしょう。
65歳以上の社会保険料・税金は、いずれも前年の所得が基準になります。働き始めた年は収入が増えても、2年目以降は手取りが減るケースがある点に注意が必要です。
次章では、年金とパート収入を得ている人を例に、差し引かれる税金・社会保険料を計算してみましょう。