「老後生活には1億円が必要」と耳にしたことはありませんか?かなりインパクトがある数字ですが、この「1億円説」は本当なのでしょうか。
そこで今回は、老後における収入と支出を調査しました。今からでも始められる老後への備えも、あわせてご紹介します!
老後に得られる収入
まずは、老後の収入を考えましょう。2018年12月に厚生労働省が公表した「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、平成29年度末の厚生年金保険(第1号)の平均年金月額は14万7051円。国民年金の平均年金月額は5万5615円となっています。
仮に夫が定年まで会社員として働き、妻はずっと専業主婦だった世帯は、先ほど見た年金額の合計20万2666円が1カ月あたりの年金収入となります。ただし、就業状況や夫婦の年齢差などにより、支給額が上下する可能性があります。
1カ月で約20万円の年金収入ということは、年間の世帯収入20万円×12ヶ月=240万円。
この支給額を20年間に渡って受け取った場合、240万円×20年=4800万円。30年であれば、240万円×30年=7200万円を得ることになります。
なお、共働きで妻も厚生年金を受け取る世帯は、年金収入がより多くなる可能性が高いです。また、定年退職後も仕事を続ける場合は、すぐに年金に頼らないというケースも考えられます。これらを踏まえると、老後に得られる収入は決して少なくありません。
老後に発生する支出
次に、老後の支出について見ていきましょう。厚生労働省が発表した「平成28年老齢年金受給者実態調査」では、「夫の年齢階級別・世帯の支出額階級(月額)別 構成割合(夫婦世帯)」をベースに考えます。
調査の結果、60-64歳の月額の世帯支出額は「27.5万円」、65歳以上は「24.4万円」。年齢が高くなるに連れ、世帯支出額が減少する傾向にあります。
仮に65歳で定年退職をし、その世帯支出額が継続した場合、年間の支出額は24.4万円×12ヶ月=292.8万円。年間で約300万円の支出と計算できます。
ただし、これはあくまでも平均支出額をベースにしたもの。生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査」によると、「ゆとりある老後生活費」は月額34.9万円とされています。
平均支出額の24.4万円と比べると、約10万円の差があります。ゆとりある老後生活費の年間支出額は、34.9万円×12ヶ月=418.8万円。約420万円とすると、年数に応じた支出額は以下のようになります。
20年間:420万円×20年= 8400万円
25年間:420万円×25年= 1億500万円
30年間:420万円×30年= 1億2600万円
ここにきて、「1億円」という数字が登場しました。各家庭の生活水準はさまざまですが、「ゆとりのある老後生活費」を継続する場合、1億円が必要なケースも考えられます。