5. 高齢者世帯「生活が苦しい人」の割合とは?

年金の平均額を見てきましたが、実際に年金を受け取っている高齢者世帯は、自身の生活をどのように感じているのでしょうか。

厚生労働省が公表した「2024年 国民生活基礎調査の概況」によると、生活意識について「苦しい」と回答した高齢者世帯の割合は55.8%でした。内訳は「大変苦しい」が25.2%、「やや苦しい」が30.6%となっています。

この割合は、全世帯の58.9%と比較するとやや低いものの、半数以上の高齢者世帯が生活に苦しさを感じている実態がうかがえます。ちなみに、「児童のいる世帯」では「苦しい」と回答した割合は64.3%にのぼります。

このようなデータからも、公的年金だけでゆとりある生活を送るのは簡単ではない可能性があり、老後に向けた準備の重要性が改めて浮き彫りになるでしょう。

6. 自身の年金額を把握し、老後設計を

今回は厚生年金と国民年金の平均受給月額を年齢別に詳しく見てきました。年金の受給額には大きな個人差があることがわかりましたね。

ご自身の将来の年金受給見込み額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。もし見込み額が想定より少ないと感じた場合は、早めに老後への対策を始めることが大切です。

現在の日本では、預貯金だけで資産を大きく増やすことは難しい状況です。物価の上昇によって、お金の価値が実質的に目減りしてしまうリスクも考慮しなければなりません。

対策としては、健康なうちは長く働き続けることや、NISAなどを活用した資産運用を検討することも有効な選択肢となるでしょう。今回の統計データを参考に、ご自身に合った老後資金の計画を立ててみてはいかがでしょうか。

※本記事は2025年10月5日に公開された記事の再編集です。

参考資料

菅原 美優