12月は一年の締めくくり。年末調整や確定申告の準備など、お金に関する手続きが気になる時期です。そんな中、年金を受け取っている方にぜひ知ってほしい制度があります。それが「年金生活者支援給付金」です。

この給付金は、基礎年金を受給している人で、年金や所得の合計額が一定基準以下の場合に受け取れるお金。生活を支える心強い制度ですが、注意したいのは“申請しないと受け取れない”という点です。知らないまま年を越してしまうと、せっかくの支援を逃してしまうこともあります。

12月は、こうした制度を確認する絶好のタイミング。寒さが厳しくなる季節、家計に少しでもゆとりを持たせるために、申請できるかどうかをチェックしてみましょう。

1. 年金生活者支援給付金の支給要件

「年金生活者支援給付金」は、基礎年金を受給している人が、年金等の収入や所得の合計額が一定基準以下となる場合に受け取ることができるお金です。

「年金生活者支援給付金」は3種類あります。それぞれ詳細を見ていきましょう。

1.1 【老齢年金生活者支援給付金】支給要件を見る

老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される

1.2 【障害年金生活者支援給付金】支給要件を見る

障害年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。

  • 障害基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)

※ 障害年金等の非課税収入は除く

1.3 【遺族年金生活者支援給付金】支給要件を見る

遺族年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。

  • 遺族基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)

※ 遺族年金等の非課税収入は除く

2. 「年金生活者支援給付金」給付基準額は月額いくら?

年金生活者支援給付金の金額は、物価変動に応じて年度ごとに見直されます。

2025年度については前年度より+2.7%の増額改定となり、6月に支給された4月分の給付金から増額率が適用されています。

2.1 2025年度の年金生活者支援給付金「支給金額は+2.7%の増額」

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):5450円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級6813円・2級5450円
  • 遺族年金生活者支援給付金:5450円

老齢年金生活者支援給付金のみ、上記の基準額をもとに保険料納付済期間や免除期間に応じて実際の給付額が計算されます。

3. 年金生活者支援給付金 請求手続き

年金生活者支援給付金を受給するためには、必ず請求手続きが必要です。支給要件を満たせば自然に年金が増額される仕組みではありません。

ここでは、該当する方が多い2つのケース、「これから新たに老齢年金を受け取り始める人の場合」と、「すでに年金を受給中の人の場合」について、請求手続き方法を整理しておきましょう。

3.1 新たに老齢年金を受け取り始める人

  • 65歳になる3カ月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封されて、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」が届きます
  • 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書と併せて年金事務所に提出します

3.2 すでに年金受給中の人

  • 毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。2025年は9月1日から順次発送されています。
  • 2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は電子申請を利用できます。
  • 電子申請を利用しない場合は、必要事項を記載し、切手を貼ってポストに投函します

年金生活者支援給付金請求手続きのご案内5/7

年金生活者支援給付金請求手続きのご案内

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内リーフレット」

年金生活者支援給付金は、原則として請求した月の翌月分から支給が開始されます。

また、一度請求手続きをおこなえば、支給要件を満たす限り2年目以降は請求手続き不要で継続受給が可能です。

4. 年金、みんなの平均受給額はいくら?

ここからは、厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、厚生年金と国民年金の平均年金月額を確認します。

4.1 【国民年金・厚生年金】平均はいくら?個人差・男女差にも着目

4.2 厚生年金の平均年金月額

〈全体〉平均年金月額:14万6429円(国民年金部分を含む)

  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

4.3 国民年金の平均年金月額

〈全体〉平均年金月額:5万7584円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額は、男性で約16万7000円、女性で約10万7000円となっており、その差は約6万円にも上ります。

この違いは、厚生年金加入月数と、その期間の収入額が年金額に反映されるため、現役時代の働き方が老後の年金額に大きく影響することが要因です。

一方、国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は、男女ともに月額5万円台にとどまっています。これは、保険料の未納や免除を受けた人が一定数存在し、その分、平均額が低くなっているためです。

5. 【年金制度改正法】私的年金も見直しへ

2025年6月13日、年金制度改正法が成立しました。

今回の改正には、いわゆる「年収106万円の壁」撤廃に向けた社会保険の加入対象の拡大、在職老齢年金の支給停止調整額の引き上げ、遺族年金の見直しなど、公的年金制度の大きな改正内容が盛り込まれています。

同時に、私的年金である「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」や「企業型DC」に関しても、いくつか改正が加わることになりました。

5.1 iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)

働き方に関係なく「70歳未満」に引き上げる

  • 現在のiDeCo加入条件
    • 国民年金被保険者
    • 老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付を受給していない人
  • 加入可能年齢の引き上げ後
    • iDeCoを活用した老後の資産形成を継続しようとする人
    • 老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付を受給していない人

5.2 企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)

企業型DCで、加入者本人が掛金を上乗せする「マッチング拠出」の上限額を撤廃。事業主掛金の額を超え、拠出限度額の枠を十分に活用できるようにする。

5.3 企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)

企業年金の運営状況の情報を、厚生労働省がとりまとめて開示。他社との比較・分析が可能となる。

6. まとめにかえて

今回は、年金生活者支援給付金について詳しく解説しました。この制度は、基礎年金を受給している方で、年金や所得の合計額が一定基準以下の場合に申請できる支援金です。ポイントは「申請しないと受け取れない」ということ。

給付金は3種類あり、それぞれ対象や条件が異なるため、確認が必要です。12月は手続きや家計の見直しに最適な時期。

ぜひこの機会に、自分が対象かどうかをチェックし、必要な申請を済ませておきましょう。

※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

参考資料

長井 祐人