5. 判断のポイント “65歳から受け取る”が合理的な人もいる
以下のようなケースでは、65歳から受給を始める方が合理的です。
- 退職金や預貯金が少なく、生活資金の余裕がない
- 健康に不安がある
- 税金・社会保険料の増加を抑えたい
逆に、
- 健康に自信があり、病気に対するリスク管理ができている
- 貯蓄や資産に余裕がある
- 配偶者の加給年金などを調整したい
という人は繰下げを検討する価値があると言えるでしょう。
6. まとめにかえて “増える”より“残る”を重視して考えよう
繰下げ受給は、制度上は確かにお得な選択肢に見えます。
しかし、「額面が増える」=「手取りが増える」ではないことを理解することが大切です。
年金の受け取り方は、年齢や健康状態、生活資金の状況によって最適解が変わります。
大切なのは「増えた年金でどれだけ安心して暮らせるか」という視点。
不安がある方はねんきんネットなどで自分の年金額を試算し、ライフプラン全体の中で受給時期を考えてみるとよいでしょう。
参考資料
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 日本年金機構「66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき」
- 厚生労働省「[年金制度の仕組みと考え方] 第11 老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 生命保険文化センター「リスクに備えるための生活設計」
- 日本年金機構「ねんきんネット」
和田 直子