2. “額面○%増”でも手取りではこのくらい
繰下げ受給による増額率は、制度上たしかに大きな魅力です。
たとえば、65歳で月15万円の年金を受け取れる人が70歳まで5年間繰り下げた場合、理論上の額面は約42%増(21.3万円)になります。
ただし、年金額が増えると所得税・住民税・介護保険料なども比例して増加します。
ここで、シミュレーションとして実際の65歳以上の夫婦のみ無職世帯の平均収支データを見ていきましょう。
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2024年」によれば、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の平均は以下の通りです。
- 社会保障給付(主に年金):22万5182円
- うち非消費支出(社会保険料含む):3万356円
→手取り:約19万5000円
という結果に。また、赤字が3万4058円出ていることも見逃せません。
額面で手取りが6万3000円増えたとしても、社会保険料などの支出で手取りの増加幅は少なくなる上、実際は赤字で暮らしている世帯も少なくないことがわかります。
繰り下げ受給で額面が増えたからといって安心するのではなく、計画的に家計収支を見ていくことが大事なのです。
著者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
元銀行員/一種外務員資格(証券外務員一種)/LIMOマネー編集部金融ライター
一種外務員資格(証券外務員一種)。大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行にて後方事務や法人営業部門のアシスタント事務を経験。その後、三井住友信託銀行に転職し、資産運用アドバイザー業務に約10年間従事。
15年以上にわたり金融機関に在籍し、現役世代からシニア層、富裕層まで延べ1000名以上の個人顧客に対し、資産運用コンサルティングや承継対策を提案。表彰歴多数。現在は、株式会社モニクルリサーチが運営する、くらしとお金の経済メディア『LIMO(リーモ)』、専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』にて企画・執筆・編集・監修を幅広く担当。
15年以上の金融機関キャリアに加え、自身も20年以上の投資経験(投資信託・株式・FX・金など)を持つ。金融のプロ・現役投資家・生活者(出産・育児経験)の3つの視点から、年金制度の仕組み、社会保障、NISAや住宅ローン、相続まで分かりやすく解説。Yahoo!ニュース経済カテゴリでアクセスランキング1位を多数獲得。【2026年6月29日更新】