秋の深まりとともに朝晩の冷え込みが増してきました。これから冬に向けて、暖房費などの光熱費が気になる季節です。家計のやりくりに頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。
公的年金のみで生活するシニア世帯にとって、昨今の物価上昇が続く状況下では、毎日の暮らしがより一層厳しく感じられるかもしれません。
日本の公的年金は国民年金と厚生年金の2階建て構造となっていますが、受け取る年金額には個人ごとに大きな開きがあり、十分な額を受給できていない人もいます。
このような背景から、年金を含めた所得が一定基準に満たない世帯を対象に、「年金生活者支援給付金」という給付金制度が設けられています。
本記事では、この給付金制度について、支給される対象者の条件、具体的な金額、申請手続きの流れなどを詳しく紹介します。
1. 年金生活者支援給付金の仕組みと2025年度の給付額
年金生活者支援給付金は、年金収入や他の所得を合計しても一定の基準に届かない年金受給者に対し、生活を支えるために支給される制度です。給付は2カ月ごとに実施され、公的年金に上乗せされる形で受け取れます。
受給している年金の種類によって「老齢」「障害」「遺族」の3種類に区分され、それぞれで支給の条件や給付金額が異なります
1.1 2025年度の給付額は前年度比2.7%増加
2025年度における年金生活者支援給付金は、前年度から2.7%の引き上げが行われました。
【2025年度の給付金額(月額)】
- 老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5450円
- 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円・2級5450円
- 遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円
老齢年金生活者支援給付金は、上記の基準額をもとに保険料を納付した期間などに応じて実際に給付される金額が算出されます。
これらはすべて月額での金額となります。実際の支給では2カ月分がまとめて年金と一緒に振り込まれるため、1回あたり約1万円、年間では約6万円を受け取ることができます。
厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、2024年3月時点での平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金が4014円、障害年金生活者支援給付金が5555円、遺族年金生活者支援給付金が5057円となっています
※2024年3月において認定されている平均給付金額です。
