2025年11月となり、朝晩の冷え込みがぐっと増してきました。冬の支度を進めながら、12月15日の年金支給日を心待ちにしている方も多いのではないでしょうか。
公的年金は、老後生活の大きな支えとなる大切な収入源です。しかし「実際にいくら受け取れるのか」「生活していく上で十分な金額なのか」このような不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
2025年度の年金額は引き上げられたものの、物価上昇の影響により、実質的な生活水準はむしろ低下している可能性があります。
また、シニア世帯の半数以上が「生活が苦しい」と回答している調査もあり、年金だけでは不安が残る現状が浮き彫りになっています。
そこで今回の記事では、現代のシニアが受け取っている年金額について、年金の一覧表とともに、わかりやすくお伝えします。
1. 老後の生活費は足りる?まずは年金の現実を知る
日本の公的年金は「老後の生活を支える柱」と位置づけられますが、実際には「年金だけで暮らしすのは難しい」という声が少なくありません。
かつて注目を集めた「老後2000万円問題」も、今では過去の目安になりつつあり、いまや老後に必要な額はそれ以上とも言われています。
加えて、最近の物価上昇は食料品や日用品にとどまらず、家賃・住宅価格にも及んでいます。たとえ年金が引き上げられても、増えた分が生活費の値上がりに追いつかず、家計を圧迫するケースが目立ってきました。
老後を安心して迎えるための第一歩は、自分が受け取る年金額の実態を正しく知ることです。現役世代にとっても、将来の見込み額を把握し、早めに備えを始める重要性は一段と増しています。
2. 2025年度の年金額、1.9%増額でも実質目減り
年金額は3年連続して引き上げられており、2025年度(令和7年度)は前年度比で1.9%増額となりました。2025年度の年金月額の例は以下のとおりです。
- 国民年金(老齢基礎年金・満額/1人分):6万9308円(+1308円)
- 厚生年金(夫婦2人分):23万2784円(+4412円)
年金が増えること自体は喜ばしいことですが、この改定率には注意が必要です。
年金は物価や賃金の動向を鑑みて毎年改定されていますが、物価や賃金の上昇と比較すると、年金の伸びは抑制される仕組みになっています。
物価上昇が年金増額のペースを上回れば、実際に購入できる商品やサービスの量は減ってしまいます。
つまり、数字上では増えているにもかかわらず、暮らし向きはむしろ厳しくなる「実質的な目減り」が起きていることになります。
3. シニアの暮らし「半数以上が苦しい」
現代のシニアが「生活が苦しい」と感じている状況は、統計からも読み取ることができます。厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」で、シニア世帯の生活意識を見ていきましょう。
【高齢者世帯の生活意識】
- 大変苦しい:25.2%
- やや苦しい:30.6%
- 普通:40.1%
- ややゆとりがある:3.6%
- 大変ゆとりがある:0.6%
半数以上(55.8%)が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答し、日々の生活に経済的な厳しさを感じています。
一方、全体の40%が「普通」と回答し、「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」と回答した世帯は4.2%です。
シニア全体で言うと、2人に1人は「経済的な余裕がない状況」であることがわかります。
4. 年金一覧表|60歳~90歳以上の国民年金・厚生年金、平均年金月額はいくら?
では、実際にシニア世代がどの程度の年金を受け取れているか見ていきましょう。
厚生労働省年金局の資料から、60歳~90歳以上の年金受給者の平均年金月額を、年金種類別に年齢・男女別に確認していきます。
4.1 年齢別|国民年金・厚生年金(第1号)の平均年金月額
国民年金
- 60~64歳:4万4836円
- 65~69歳:5万9331円
- 70~74歳:5万8421円
- 75~79歳:5万7580円
- 80~84歳:5万7045円
- 85~89歳:5万7336円
- 90歳以上:5万3621円
厚生年金(第1号)
- 60~64歳:7万5945円
- 65~69歳:14万7428円
- 70~74歳:14万4520円
- 75~79歳:14万7936円
- 80~84歳:15万5635円
- 85~89歳:16万2348円
- 90歳以上:16万721円
※厚生年金保険(第1号)とは、厚生年金保険の被保険者のうち、民間の事業所に使用される方。
※老齢基礎年金受給権者には、被用者年金が上乗せされている方を含みます。
※65歳未満の受給権者は、特別支給や繰上げ支給の影響が含まれます。
国民年金と厚生年金の受給者では、平均年金月額に大きな開きがあります。これは現役時代の保険料の額や負担方法の違いから生じるものです。
また、厚生年金保険に加入されていた方のなかでも、現役時代の給与やボーナスによって、受給額は大きく異なります。
4.2 全体・男女別|国民年金・厚生年金(第1号)の平均年金月額
国民年金と厚生年金の全体の平均額、男女別の平均額も見ていきましょう。
国民年金
- 全体:5万7584円
- 男性:5万9965円
- 女性:5万5777円
厚生年金(第1号)
※国民年金部分を含む
- 全体:14万6429円
- 男性:16万6606円
- 女性:10万7200円
国民年金の平均月額は5万円台、厚生年金の平均月額は14万円台(全体)となっています。
前章でもお伝えしたとおり、厚生年金を受け取る人は、一般的に国民年金のみを受給する場合と比較して年金額が多くなります。しかし、個人差も大きいのが特徴です。
また、厚生年金の男女間の差は、ライフスタイルの差から生じるものと予測されます。ただし、男女の働き方の差は徐々に縮小してきているので、受給額の差も時代の変化とともに小さくなる可能性があります。
5. 老後の資産形成は、早めの準備が肝心
今回の記事では、シニアの生活意識、国民年金と厚生年金の平均月額について、お伝えしました。
年金額を確認して「思ったより少ない」「これで足りるのか」と不安を感じた方は、ご自身の年金見込み額を早めに確認することをおすすめします。
年金額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認することができます。年金受け取り直前や退職後に年金や貯蓄を増やす方法は限られるため、できるだけ早く準備していくことが肝心です。
年金や貯蓄を増やす方法としては、次のようなものがあります。
- 年金の繰下げ受給
- 任意加入
- 付加年金
- 国民年金基金
- iDeCoやNISAの活用
- 可能な限り働く
自分のできる範囲で構いませんので、年金生活がスタートする前にしっかりとお金の計画を立てておきましょう。
どのように考えたらよいか分からない場合は、信頼できるFP(ファイナンシャルプランナー)などに相談をしてみるのもひとつの方法です。