ぐんと肌寒くなり、秋から冬にかけての移ろいを感じます。
2025年秋から、政府の「電気・ガス料金負担軽減支援事業」終了または変更や、大手電力会社では燃料費の高止まりを背景として家庭向け電気料金が見直される見込みです。
物価や光熱費の上昇が続くなか、年金生活を送るシニア世帯では「毎月のやりくりが苦しい」と感じる人が増えています。実際、厚労省の調査では高齢者世帯の半数以上(55.8%)が生活の苦しさを実感している結果も見受けられます。
老後の暮らしを支えるためにも、資産形成や支出の見直しをどう進めていくかが重要です。
本記事では、高齢者世帯の生活意識や貯蓄額の実態、年金の平均支給額、さらに65歳以上夫婦世帯の家計収支や医療費の現状を最新データから読み解きます。
1. 【シニア世帯の本音】「生活が苦しい」高齢者は55.8%と半数超え
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から高齢者世帯の生活意識に関する結果を見ていきます。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
1.1 高齢者世帯の生活意識
- 大変苦しい:25.2%
- やや苦しい:30.6%
- 普通:40.1%
- ややゆとりがある:3.6%
- 大変ゆとりがある:0.6%
この調査からは、高齢者世帯の生活実態が「苦しい」「普通」「ゆとりがある」という三つの層に分かれていることが浮かび上がります。
まず注目すべきは、全体の半数超(55.8%)が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答しており、多くのシニアが日々の暮らしに経済的な負担を感じている点です。
一方で「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」と答えた世帯はわずか4.2%にとどまり、老後の生活に十分な余裕を持つ人はごく少数派といえます。
経済的な余裕はなくとも堅実に暮らすシニア世帯の姿が目に浮かぶようです。
それでは、こうした世帯はどのくらいの貯蓄をもって老後の生活を迎えているのでしょうか。次の章では、70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値を見ながら実際の老後資産の水準を確認していきます。
