寒風が吹き始める12月、 年の瀬の慌ただしさが増すなか、今年最後の年金支給日となる12月15日を心待ちにされている方も多いのではないでしょうか。

今回は、現在のシニア世代が受け取っている「厚生年金+国民年金」の受給額の実態にスポットを当ててご紹介します。

年金支給日には、前月と前々月分の年金が支給されますが、12月15日の年金支給日に厚生年金+国民年金を「40万円(月額20万円)以上」もらえる人は何パーセントいるのでしょうか。

年金は老後生活を支える大切な柱です。

平均寿命や年金の平均月額についても解説しますので、ご自身の将来設計について考えるきっかけとして参考にご覧ください。

1. 【平均寿命】男性と女性ではどれくらい違う?

私たちは日頃「平均寿命」という言葉を何気なく使っていますが、これは0歳の平均余命を指します。

厚生労働省が2025年7月25日に公表した「令和6年簡易生命表の概況」によると、最新の平均寿命は男性が81.09年、女性が87.13年でした。

前年と比較すると、男性は横ばい(▲0.00年)、女性はわずかに下回りました(▲0.01年)。また、平均寿命の男女差は6.03年で、前年より▲0.01年とわずかながら縮まっています。

過去の推移も見てみましょう。

  • 昭和22年:男50.06 女53.96 男女差3.90
  • 昭和25-27年: 男59.57 女62.97 男女差3.40
  • 昭和30年: 男63.60 女67.75 男女差4.15
  • 昭和35年: 男65.32 女70.19 男女差4.87
  • 昭和40年: 男67.74 女72.92 男女差5.18
  • 昭和45年: 男69.31 女74.66 男女差5.35
  • 昭和50年: 男71.73 女76.89 男女差5.16
  • 昭和55年: 男73.35 女78.76 男女差5.41
  • 昭和60年: 男74.78 女80.48 男女差5.70
  • 平成2年: 男75.92 女81.90 男女差5.98
  • 平成7年: 男76.38 女82.85 男女差6.47
  • 平成12年 :男77.72 女84.60 男女差6.88
  • 平成17年:男78.56 女85.52 男女差6.96
  • 平成22年:男79.55 女86.30 男女差6.75
  • 平成27年 男80.75 女86.99 男女差6.24
  • 令和2年 男81.56 女87.71 男女差6.15
  • 令和3年 男81.47 女87.57 男女差6.10
  • 令和4年 男81.05 女87.09 男女差6.03
  • 令和5年 男81.09 女87.14 男女差6.05
  • 令和6年 男81.09 女87.13 男女差6.03

長期的なデータを見ると、男女ともに平均寿命が大きく延びており、「人生100年時代」が現実味を帯びてきたことを実感することができます。

長くなった老後を豊かに過ごすためには、現役時代からの計画的な貯蓄や資産形成、さらには公的年金制度への理解が大切となってくるでしょう。

老後生活の柱となる「年金」ですが、日本の公的年金制度はどのようなしくみになっているのでしょうか。

2. 【日本の公的年金制度】2階建てのしくみとは?

日本の公的年金制度は「2階建て」2/4

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

日本の公的年金制度は、「国民年金(基礎年金)」をベースとし、会社員や公務員などが「厚生年金」に上乗せ加入する二階建て構造です。

2.1 1階部分:国民年金(基礎年金)

  • 誰が加入する?:原則として「国内在住の20歳以上から60歳未満」全員
  • 保険料はいくら?:全員一律(2025年度月額 1万7510円)
  • 老後の受給額はいくら?:全期間(480カ月)納付すれば満額(2025年度月額 6万9308円)
  • 被保険者区分は?:第1号~第3号の3区分(※)

国民年金の被保険者区分

  • 第1号被保険者:農業者・自営業者・学生・無職の人など
  • 第2号被保険者:厚生年金の加入者
  • 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者

2.2 2階部分:厚生年金

  • 誰が加入する?:会社員や公務員、またパート・アルバイトで特定適用事業所(※4)に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入
  • 保険料はいくら?収入に応じて決まり、給与からの天引きで納付(保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算)
  • 老後の受給額はいくら?:加入期間や納めた保険料により個人差あり
  • 被保険者区分は?:第1号~第4号の4区分

厚生年金の被保険者区分

  • 第1号:第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人
  • 第2号:国家公務員共済組合の組合員
  • 第3号:地方公務員共済組合の組合員
  • 第4号:私立学校教職員共済制度の加入者

3. 【国民年金・厚生年金】みんなの平均月額はいくら?

厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、公的年金(厚生年金・国民年金)の平均年金月額、および年金月額分布を見ていきます。

厚生年金・国民年金の平均年金月額(2023年度末現在)3/4

国民年金の平均月額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

3.1 厚生年金+国民年金:平均年金月額はいくら?

  • 男女全体:14万6429円
  • 男性:16万6606円
  • 女性:10万7200円

※厚生年金の月額には国民年金の月額部分が含まれています。また、ここでは、会社員など民間の事業所で雇用されていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」の年金月額を紹介しています。

3.2 国民年金:平均年金月額はいくら?

  • 男女全体:5万7584円
  • 男性:5万9965円
  • 女性:5万5777円

国民年金の平均月額は、男女ともに5万円台にとどまります。

これは、保険料が全員一律となる国民年金の仕組み上、受給額に大きな差が出にくいことが影響しています。

2025年度の国民年金の満額(1人分)が月額6万9308円です。

国民年金のみで年間240万円(月額20万円)超の年金収入を確保することは現実的ではないでしょう。

一方、厚生年金は国民年金に上乗せされる形で支給されます。さらに、加入月数とその期間の収入に応じて保険料と受給額が変動するしくみです。

そのため、国民年金と比べて年金額に個人差が出やすいのが特徴です。

厚生年金+国民年金の平均月額は男女全体で14万6429円ですが、男性は16万6606円、女性は10万7200円と、男女間でも大きな差が見られます。

3.3 老後の生活費「年金だけでカバーできそう?」

上記の公的年金の平均額を踏まえると、公的年金収入だけで老後の生活を維持できるのかが気になるところです。特に「月額20万円」は、年金だけで生活費を賄えるかどうかの一つの大きな目安となるでしょう。

総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職世帯のひと月の消費支出(生活費)は、夫婦のみ世帯で25万6521円、単身世帯で14万9286円です。

この生活費と比較すると、世帯に一人でも年金月額が20万円以上の人がいれば、年金収入だけで単身世帯の生活費をカバーし、夫婦世帯の生活費の大部分をカバーできる可能性は高まるでしょう。

4. 厚生年金+国民年金を「40万円(月額20万円)」もらえる人は何パーセント?

本章では、厚生年金(国民年金部分を含む)の受給額分布を見てみましょう。

厚生年金の受給額ごとの受給権者数4/4

厚生年金の受給額ごとの受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

4.1 厚生年金:受給額ごとの人数

  • 1万円未満:4万4420人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4367人
  • 2万円以上~3万円未満:5万231人
  • 3万円以上~4万円未満:9万2746人
  • 4万円以上~5万円未満:9万8464人
  • 5万円以上~6万円未満:13万6190人
  • 6万円以上~7万円未満:37万5940人
  • 7万円以上~8万円未満:63万7624人
  • 8万円以上~9万円未満:87万3828人
  • 9万円以上~10万円未満:107万9767人
  • 10万円以上~11万円未満:112万6181人
  • 11万円以上~12万円未満:105万4333人
  • 12万円以上~13万円未満:95万7855人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3629人
  • 14万円以上~15万円未満:94万5907人
  • 15万円以上~16万円未満:98万6257人
  • 16万円以上~17万円未満:102万6399人
  • 17万円以上~18万円未満:105万3851人
  • 18万円以上~19万円未満:102万2699人
  • 19万円以上~20万円未満:93万6884人
  • 20万円以上~21万円未満:80万1770人
  • 21万円以上~22万円未満:62万6732人
  • 22万円以上~23万円未満:43万6137人
  • 23万円以上~24万円未満:28万6572人
  • 24万円以上~25万円未満:18万9132人
  • 25万円以上~26万円未満:11万9942人
  • 26万円以上~27万円未満:7万1648人
  • 27万円以上~28万円未満:4万268人
  • 28万円以上~29万円未満:2万1012人
  • 29万円以上~30万円未満:9652人
  • 30万円以上~:1万4292人

公的年金収入が「月額20万円以上」に達しているのは、厚生年金受給権者のうちわずか16.3%にとどまります。

年金は前月と前々月の分が支給されますので、16.3%の人は次回の年金支給日となる12月15日に「40万円(月額20万円)以上」が支給されることになるでしょう。

その一方で、8割以上の人の年金は、ひと月20万円未満となっているのが実情です。

年金収入は世帯単位で考える必要もありますが、公的年金だけで安定した生活を送るためには、自助努力による備えが欠かせません。

なお、この数字は、あくまで厚生年金を受給している人のなかでの割合です。

国民年金のみを受給している方々も含めて全体を見渡すと、年金月額が「月額20万円以上」となる人の割合は、さらに低くなると考えられます。

5. 「老後生活を支える大切な年金」ご自身の年金見込額を確認しておきましょう

ここまで、年金情報や平均寿命について解説しました。

厚生年金受給権者のうち、12月15日の年金支給日に厚生年金+国民年金を「40万円(月額20万円)以上」もらえる人は16.3%となっています。

男女全体の平均年金月額は、国民年金のみだと月額5万円台、厚生年金+国民年金の場合は月額14万円台となっています。

ただし、これはあくまでも額面となっていますので、ここから社会保険料や税金が天引きされると、手取りの年金はさらに少なくなるでしょう。

老後の生活設計を立てるためにも、ご自身の年金見込額について日本年金機構の「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認してみてはいかがでしょうか。

参考資料

安達 さやか