知識のアップデートに遅れはありません。資産形成や税制、年金といった生活の基盤に関わる情報こそ、いつでも、分かりやすい形で学んでおくことが大切です。

本記事では、読者の皆様が「知りたい」「損をしたくない」と感じるテーマを、一問一答形式で簡潔に解説します。3分で理解できる知識を身につけ、ご自身の生活設計に役立てていきましょう。

今回は、その中でも注目を集めている、高市早苗首相が自民党総裁の就任会見で言及した「給付付き税額控除」について、わかりやすく解説します。

1. Q. 高市総裁が検討している「給付付き税額控除」ってどんな制度ですか?

1.1 A. 減税と給付を組み合わせ、低所得者に現金を届ける新しい税制です。

「給付付き税額控除」とは、所得税の減税現金給付を組み合わせた仕組みです。最大のポイントは、「控除しきれない減税額を、国が現金で支給する」という点です。

従来の減税では、所得税を納めていない非課税世帯には恩恵がありませんでした。

しかし、この「給付付き税額控除」という制度は、非課税世帯にも支援を確実に届けるとともに、消費税が低所得者に重くのしかかる「逆進性(所得が低い人ほど税負担の割合が重くなるという不公平な仕組み)」を解消する目的があります。

2. Q. 非課税世帯はどれくらいの金額を「現金」でもらえるのでしょうか?

2.1 A. 控除額の全額が現金で支給されます。

具体的な控除額については今後議論される予定であり、制度の導入自体もまだ確定していません。

しかし、もし仮に控除額を10万円として制度がスタートした場合、非課税世帯へどのような影響があるのか、その仕組みを理解するためにシミュレーション結果を確認してみましょう。

例:【給付付き税額控除】控除額を10万円とした場合

例:【給付付き税額控除】控除額を10万円とした場合

LIMO編集部作成

【中・高所得層】

  • 所得税の納税額:30万円(控除額10万円を上回る)
  • 控除・給付の適用:10万円が減税として適用
  • 最終的な効果:納税額が20万円となり、納税負担が軽減される。

【低所得層】

  • 所得税の納税額:8万円(控除額10万円を下回る)
  • 控除・給付の適用:8万円は減税(納税額がゼロに)。残りの2万円を現金給付。
  • 最終的な効果:納税額がゼロになり、さらに2万円が現金で支給される。

【非課税世帯】

  • 所得税の納税額:ゼロ
  • 控除・給付の適用:控除する税金がないため、10万円が全額現金給付される。
  • 最終的な効果:減税の恩恵がなかった層にも、直接的な支援が届く。

この仕組みにより、所得が低い人ほど現金給付の割合が大きくなるため、支援が最も必要な層に資金が集中します。