日中の強い日差しがやわらぎ、夕暮れの空にはどこかもの悲しい茜色が広がる季節となりました。
さて、公的年金を受給されている方にとって、今月は2か月に一度の年金支給月です。10月15日(水)には、8月分と9月分の年金がそれぞれの口座へ振り込まれます。
高齢化が急速に進む現代社会では、「将来、本当に年金を受け取ることができるのだろうか」という不安の声が年々高まっています。
とくに、会社員として厚生年金に加入している方の場合、加入期間や給与の推移によって受給額が大きく変わるため、「自分はいくらもらえるのか」「老後の生活は成り立つのか」を具体的にイメージしづらいのが現状です。
そこで本記事では、日本の労働者層の中でも多い「平均年収500万円」の会社員をモデルケースとして、公的年金の受給額を試算しました。
老後への漠然とした不安を少しでも軽くし、将来設計を考えるきっかけとして、ぜひこのシミュレーション結果をご活用ください。
1. 公的年金「厚生年金と国民年金」のしくみを確認
日本の公的年金には、老齢年金の他、ケガや病気で仕事や生活などが制限されるようになった場合に受給できる「障害年金」、一家の生計の担い手にまさかのときがあった場合に受給できる「遺族年金」という、3つの保障機能があります。
「年金」と聞くと、リタイア後に受け取る「老齢年金」をイメージする人が多いかもしれませんね。
1.1 年金制度は「国民年金+厚生年金」の2階建て構造
「2階建て構造」と呼ばれるそのしくみは、1階部分の「国民年金(基礎年金)」と2階部分の「厚生年金」から成り立ち、現役時代の働き方や過ごし方が、将来の年金水準を大きく左右する性質を持っています。
ここでは、「国民年金」と「厚生年金」の基本とあわせて、それぞれの「老齢年金の受給額」についても整理しておきましょう。
1.2 1階部分《国民年金》
加入対象者は?
- 原則として日本に居住する20歳から60歳未満の全員(職業や国籍は問わない)
年金保険料は?
- 全員一律、ただし年度ごとに改定あり(※1)
老齢年金の受給額は?
- 保険料を全期間(480カ月)納付すれば、65歳以降で満額(※2)の老齢基礎年金を受給できる
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
1.3 2階部分《厚生年金》
加入対象者は?
- 会社員や公務員、またパート等で特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした人(国民年金に上乗せで加入)
年金保険料は?
- 収入に応じて(上限あり)変わる(※4)
老齢年金の受給額は?
- 加入期間や納付した保険料により個人差が出る
このように、国民年金と厚生年金では、加入対象となる人、年金保険料の決まり方、老齢年金額の計算方法などが異なります。
そのため、現役時代の年金加入履歴により、実際に受け取る老齢年金額にはおのずと個人差が出てくるのです。
※3 特定適用事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される