独立行政法人国民生活センターは、2025年9月17日にガラス繊維強化プラスチックが使用された商品についての注意喚起を行いました。

ガラス繊維強化プラスチックは、細いガラス繊維の束に樹脂をしみ込ませて成形したもの。軽量で弾性があり、傘の骨、園芸用ポール、テントの支柱などに使用されています。

身近な商品に使用されているガラス繊維強化プラスチックですが、繊維は細く肉眼では見えづらいので、気づかずに触ってケガをするケースがあります。

そこで、国民生活センターでは、相談の多いガラス繊維強化プラスチックが使用された「傘」について調査を行い、事故事例などを公表しました。

秋から冬にかけて、雨や雪などで傘を使う機会が増えます。実際に、どんな事故が起きているのか見ていきましょう。

また記事中では、消費者庁による令和7年版「消費者白書」より、最新の「消費者被害の推計額」についてもご紹介します。

※投稿の画像は【写真】をご参照ください。
※今回ご紹介する内容は、独立行政法人国民生活センターの掲載許可を頂いております。

1. 傘でケガをしたケースとアドバイスを紹介

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国民生活センタートラブル事例

出所:@kokusen_ncac_JAPAN

ここからは、国民生活センターに寄せられた傘に関する事故事例を紹介します。

相談事例は以下のとおりです。

1.1 ガラス繊維強化プラスチック使用商品トラブル相談事例①

子どもが人とすれ違うときにぶつかり、グラスファイバー製の傘の親骨が折れて細かなガラス繊維が手に刺さった。特に子どもには危険な商品だと思う

また、以下のような相談事例もありました。

1.2 ガラス繊維強化プラスチック使用商品トラブル相談事例②

数年前に購入した傘をさそうとしたら手に激しい痛みがあった。表示を見るとグラスファイバー製との記載があった。危険な商品を販売するのは問題だと思う

上記のように、実際にケガをした消費者からの相談が寄せられています。

この問題に対して国民生活センターでは、ガラス繊維強化プラスチックは表面からガラス繊維の先端が露出していることがあり、素手で触らないなど取扱いを注意するよう呼びかけています。

また、もしガラス繊維が皮膚に刺さって痛みが続く場合は、医師の診察・処置を受けることをおすすめしています。

2. ガラス繊維についての注意表示がない商品も発見!

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国民生活センタートラブル事例

出所:@kokusen_ncac_JAPAN

また、国民生活センターでは、さまざまな実験を行いテスト結果を公表しています。

傘を分解した結果としては、軽量で弾性が求められる傘の骨にガラス繊維強化プラスチックが使用されていたと報告。新品の傘でも骨の表面にはガラス繊維の先端が露出しているものがあり、注意喚起を行っています。

さらに、曲げたり傷つけたりすると、ガラス繊維の先端が樹脂表面から飛び出してくる可能性があると公開しました。

商品については、表示ではガラス繊維強化プラスチックの使用がわからない傘や、ガラス繊維についての注意表示がない商品があることを報告。家庭用品品質表示法で規定された項目が表示されていない銘柄があったことも、あわせて公開しています。

以上の結果を基に、国民生活センターでは業界や事業者にガラス繊維強化プラスチックが使用された商品を使用する際の注意点の周知を求めています。

さらに、ガラス繊維が飛び出してこないような改善や、家庭用品品質表示法の表示がされていない商品には、同法に基づいた適切な表示などを要望しています。

その他にも、行政やインターネットショッピングモール運営事業者への協力依頼や要望を実施。協力依頼先は、アマゾンジャパン合同会社、LINEヤフー株式会社、楽天グループ株式会社だとしています。

いかがだったでしょうか?

普段、何気なく使用している傘にもさまざまな危険が潜んでいることがわかりました。特に、子どもが使用する際には、大ケガをする恐れもあるので注意が必要です。

3. 2024年の消費者トラブルによる被害額は9兆円という結果に

日々消費活動を行うみなさんにとって、決して遭いたくないトラブルが「消費者トラブル」。
しかし、2025年6月に公表された令和7年版「消費者白書」によると、2024年の消費者被害の推計額(既支払額)は9兆円にのぼることがわかりました。

消費者被害・トラブル額の推計結果(新手法による算出)3/4

消費者白書

出所:消費者庁「令和7年版消費者白書」

なお、2020年からの推移は下記のとおりです。

3.1 消費者被害・トラブル額の推計結果(既支払額・信用供与を含む。)

  • 2020年:約3.6兆円
  • 2021年:約5.6兆円
  • 2022年:約6.0兆円
  • 2023年:約7.9兆円
  • 2024年:約9.0兆円

2024年の金額が近年最高額となっていることがわかりました。

なお、既支払額(信用供与を含む)ベースでの消費者被害・トラブル額の推定額は約9.0兆円ですが、この数字には誤差が含まれており、同基準の消費者被害・トラブル額は95%の確率で8.5~9.6兆円の幅の中にあると推定されています。

また推計結果の推移をみると、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による消費の落ち込みの影響が考えられる2020年の約3.6兆円を除いて、だいたい5兆円から6兆円で推移していました。しかし、近年は増加傾向にあることが見て取れます。

また、消費者被害・トラブル額の推計結果の算出方法には、新手法と旧手法の2種類があります。

同白書によると、「旧手法」では、消費者生活相談情報(PIO-NETデータ)に含まれる、1億円以上の極端に高額な案件も推計に含められていました。そのため、発生自体が稀な高額案件が、推計全体に実態以上に大きな影響を与える可能性がありました。

そこで「新手法」では、消費者被害・トラブル額の推計は、1億円未満のデータに基づき行うこととし、相談案件が1億円以上のトラブルについては、推計には含めず、件数と総額を推計値に併記する形を取っています。

この新しい手法により、ごく一部の極端なデータが推計全体に影響を与えることを防ぎ、また実態により即した推計となりました。

なお、旧手法による2024年の消費者被害の推計額(既支払額)は9.6兆円と、新手法よりも金額が多くなっていることがわかります。

消費者被害・トラブル額の推計結果(旧手法による算出)4/4

消費者白書

出所:消費者庁「令和7年版消費者白書」

いずれにしても、最新の数字で9兆円にのぼる莫大な金額が被害・トラブル額として推計されている現在、消費者庁は誇大広告や偽表示を行う通販業者への行政処分、SNS広告による詐欺的副業の注意喚起など、迅速な対応を取っています。

参考資料

LIMO編集部