4. 【生活保護】受給者が守るべきルール「3つの義務」とは?
受給者が守るべき生活保護の義務は、以下の3つです。
- 生活上の義務(生活保護法第60条)
- 届出の義務(生活保護法第61条)
- 指示等に従う義務(生活保護法第62条)
生活上の義務は、生活保護の受給者が日常生活上で課せられる制限のようなものです。主な義務としては、以下のようなものが挙げられます。
- 能力に応じて働く
- 病気の治療を積極的に受けて治す努力をする
- 支給された保護費を節約しながら計画的に使う
- 生活費を浪費やギャンブルには使わない
- 借金や家賃・公共料金の滞納はしてはいけない
など
これらを遵守できない場合、指導や指示が行われ、それでも改善が見られない場合は保護の変更・停止、場合によっては廃止(いわゆる生活保護の「打ち切り」)となる可能性があります。
また、保護の受給中は収入を福祉事務所に毎月報告する義務を負います。給与のような労働収入のほか、年金、生命保険の給付金、仕送りといった働きによらない収入や資産状況に変動があった際も、必ず届け出なければなりません。収入の報告とあわせて、世帯状況が変化した場合も届出が必要です。届出がないと不正受給とみなされ、保護費の返還や保護の打ち切りといった措置が取られるため、注意しましょう。
さらに、ケースワーカーの指示には原則従う必要があります。生活状況の確認や支援のために行われるケースワーカーの家庭訪問は、基本的に受け入れなければなりません。もしケースワーカーからなんらかの指導があった際は、素直にその指示に従う必要があります。ケースワーカーの指導を無視するようなことは、してはいけません。
最悪の場合、告訴・告発対象となったり、詐欺罪により逮捕されるケースもあります。実際に、被害届の提出により不正受給者が逮捕されることもあります。ルールを守って、保護を受けるようにしてください。
5. まとめにかえて
今回は、2025年10月から物価高に対応するため生活扶助の「特例加算」が500円引き上げられること、そして東京23区の単身世帯では最大約13万円が支給されるケースなど試算の一例をご紹介しました。
生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を保障するためのセーフティーネットであり、日常生活、住居、医療など8つの扶助で成り立っています。受給には資産や能力の活用など4つの要件を満たす必要があり、また、受給中にはルールを守る義務が課されます。
生活に困窮した際、このような公的な支援制度が存在することを知っているだけで、将来への不安は大きく軽減されるはずです。この機会に制度への理解を深めることが、あなた自身の暮らしと尊厳を守るための重要な一歩となるでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省「福岡大臣会見概要(財務大臣折衝後)」
- 厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和7年4月)」
- 総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)8月分」
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年7月分結果確報」
- e-Gov法令検索「生活保護法」
- 千葉市「生活保護で守っていただきたいこと~ 収入等の届出について ~ 」
石上 ユウキ