2025年は日本映画から数多くのヒット作品が生まれています。そのムーブメントの中心にいるのが、鬼滅の刃や国宝、コナン、チェンソーマンといった作品を配給している東宝株式会社です。その影響は株価にも波及しています。
今回の記事では、東宝が配給している今年のヒット作品の動向と合わせて、同社の株価の推移を分析します。
1. 【東宝の株価】『鬼滅の刃』は歴代最高興行収入の前作超えも視野
前作 『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』に続いてヒットが予想された『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、7月18日に上映開始すると、驚異的なペースで動員を伸ばし、公開3日間で55億円超え、公開2週間で100億円超えを達成しました。
興行通信社が発表している9月28日時点の興行収入は351億円で、『千と千尋の神隠し』を抜き、歴代興行収入ランキングの2位に躍り出ています。現在も公開中で407億円を記録した前作超えも視野に入ってきました。
また、海外での人気も凄まじく、9月11日から上映を開始した北米市場では、日本アニメ映画のオープニング記録を26年ぶりに更新しました。9月29日時点で世界興行収入は6億ドル(約890億円)を突破しており、1000億超えの達成はほぼ確実です。
2. 【東宝の株価】『国宝』は国内実写映画として22年ぶりに100億超え
直近で多くのヒット作品が生まれているアニメ作品とは対照的に、なかなか動員が伸びず苦しんでいた実写映画。作品のクオリティが素晴らしいとはいえ、「国宝」の大ヒットは関係者にとっても予想を上回るものだったといえるでしょう。
同作は公開3日間で3億円超えるなど、順調なスタートでしたが、ブーストがかかったのは公開4週目以降。もともと50代以上の世代から支持を集めていましたが、SNSの口コミで若い世代も劇場に足を運ぶようになり、公開から77日後の8月21日に東宝が興行収入100億円を突破したことを発表しました。
国内実写映画の100億円超えは『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』以来、実に22年ぶり。9月28日時点の興行収入は154億円で、歴代ランキングでは17位にランクインしています。10月1日時点でもロングラン上映しており、さらなる記録更新が期待されます。
3. 【東宝の株価】コナンは100億超え、チェンソーマンも50億円超えの可能性
センセーショナルな話題となった鬼滅の刃と国宝に隠れていますが、東宝が配給する作品では『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』や『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』もヒット作品として申し分のない興行収入を記録しています。
4月18日に公開された隻眼の残像の興行収入は、9月28日時点で約147億円。23年公開の『黒鉄の魚影(サブマリン)』と24年公開の『100万ドルの五稜星(みちしるべ)』も100億円を超えるヒット作品となっており、3年連続で大台を突破したことになります。
9月19日に封切りされたチェンソーマンも好調で、公開3日間の興行収入は12億円超え。9月29日に発表された公開11日間の数字では30億円を突破しています。順調に行けば、最終興行収入は50億円を超える予想となっています。
なお、同社は9月9日に1〜 8月までのグループ累計興行収入が1129億円となり、史上最速で歴代年間興行収入を更新したことを発表しています。これは9〜12月の4ヶ月を除いた数字であり、さらなる伸びが期待されます。
4. 【東宝の株価】8月に1万円台にタッチ。1年で約1.6倍に成長
24年9月から25年9月の東宝の株価は以下のように推移しています。
- 24年9月: 始値 5,581 高値 5,966 安値 5,575 終値 5,813
- 24年10月: 始値 5,809 高値 5,933 安値 5,567 終値 5,827
- 24年11月: 始値 5,771 高値 6,578 安値 5,741 終値 6,543
- 24年12月: 始値 6,539 高値 6,884 安値 6,119 終値 6,154
- 25年1月: 始値 6,165 高値 7,084 安値 6,001 終値 7,007
- 25年2月: 始値 6,914 高値 7,317 安値 6,911 終値 7,086
- 25年3月: 始値 7,141 高値 7,632 安値 6,688 終値 7,402
- 25年4月: 始値 7,449 高値 8,412 安値 7,020 終値 8,160
- 25年5月: 始値 7,970 高値 7,996 安値 7,327 終値 7,615
- 25年6月: 始値 7,550 高値 8,591 安値 7,502 終値 8,510
- 25年7月: 始値 8,622 高値 9,980 安値 8,041 終値 9,537
- 25年8月: 始値 9,597 高値 10,295 安値 9,222 終値 9,358
- 25年9月: 始値 9,339 高値 9,776 安値 9,076 終値 9,500
終値で比較すると、1年間で約1.6倍上昇しています。1年間を通して右肩上がりになっていますが、やはり国宝と鬼滅の刃がヒットした6月〜8月にかけて大きく伸びていることが分かります。8月には同社株価として初めて1万円台を付け、史上最高値を更新しています。
また、映画事業だけでなく、映像事業や版権事業が大きく成長していることも市場で評価を高めている要因です。同社の決算資料によると、海外市場で配信権やグッズの販売が伸びており、ヒット作品が高収益なビジネスモデルに結びついています。
東宝配給作品の次のヒット候補としては、11月21日に公開される細田守監督の4年ぶりの劇場作品『果てしなきスカーレット』が挙げられます。同作の動向と合わせて、東宝の年間最高興行収入がどこまで伸びるか、株価にどのような影響を与えるかなどにも注目したいところです。





