3. 給与が高いと年金カット?
在職定時改定は、在職老齢年金を受けている65歳以上70歳未満の人が対象になります。この在職老齢年金には、注意が必要です。
在職老齢年金とは、厚生年金保険の被保険者が65歳から受け取れる老齢厚生年金を受給しているときに、給与・賞与と年金の合計額が基準額を超えると、年金の一部または全部が停止される措置です。
2025年度は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が51万円を超えると、年金の支給が停止となります。
- 基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額
- 総報酬月額相当額:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
たとえば、基本月額が25万円、総報酬月額相当額が30万円の場合、1ヵ月あたりの合計収入は55万円です。よって、支給される年金額は以下のとおりです。
- 25万円-(25万円+30万円-51万円)÷2=23万円
この場合は、2万円が支給停止となります。
在職定時改定により年金が増額となっても、年金と給与・賞与の合計額が基準額を超えると、年金が支給停止となる可能性があります。在職定時改定による増額分が、支給停止額を上回る結果とならない(または増額効果が薄い)可能性があるため、注意が必要です。
次章では、在職定時改定による年金増を確かめる方法を解説します。