物価上昇が続き、年金が収入の柱である高齢者世帯にとって、家計のやりくりが厳しい状況が続いています。国民生活基礎調査(2024年)によると、「生活が苦しい」と回答した高齢者世帯は約6割に上っています。
2025年は米価をはじめとして、昨年よりインフレ傾向がいっそう顕著になっています。さらに多くの方が生活の厳しさを感じている可能性もあります。
そこで本記事では、70歳代の生活実態への理解を深めるため、各種資料より、70歳代の平均貯蓄額や平均的な生活費、保有資産額についてお伝えしていきます。
1. 【70歳代の生活費】平均はどれくらい?
まずは、70歳代の生活実態について、総務省統計局の資料「家計調査 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」より、70歳代(※)の二人以上・無職世帯の家計収支を確認していきましょう。※世帯主の年齢
1.1 70~74歳の家計収支
- 実収入:27万5420円(うち社会保障給付:21万7558円)
- 消費支出:26万9015円
- 非消費支出:3万4824円
収支:マイナス2万8419円
1.2 75歳以上の家計収支
- 実収入:25万2506円(うち社会保障給付:20万7623円)
- 消費支出24万2840円
- 非消費支出:3万558円
収支:マイナス2万892円
※75歳以上の家計収支に関しては、80歳以上の方も含まれている可能性があります。
70~74歳の世帯、75歳以上の世帯の収支を、収入ベースでそれぞれ計算すると、どちらも赤字に陥っていることがわかります。
とくに昨今は物価上昇が続いているため、前年度より消費支出がさらに増えていることが予想され、赤字が拡大している可能性もあります。
一方で、高齢者の収入の柱である年金額は、経済の実態に合わせて調整される仕組みで、ここ数年の年金額は前年度よりも上昇しています。
しかし、年金制度を将来にわたって持続可能にするため、年金の伸びは抑制されており、物価や賃金が上昇しているほど年金は増えていません。つまり、実質的には目減りしている状況です。
受け取る年金額は世帯によって異なりますが、一般的に、年金だけで余裕のある生活を営むのは難しく、日頃から節約に励んでいる世帯も多いことでしょう。