秋の夜長、皆さんはどんなふうに過ごしていますか?これからの季節は、落ち着いて将来のお金を考える良い機会かもしれません。
2014年から始まったNISAですが、2024年の新NISAに変わってより一層始められた人が増えてきました。
理由を聞くと「非課税だから」「何かしら投資をやらないといけないと思ったから」「知り合いがやっているから」など色々なきっかけがあるようです。
筆者はファイナンシャル・アドバイザーとしてお金の相談を毎日承っていますが、「非課税」というワードが好きな人が多いように思えます。
「非課税」というのはNISAに限った事ではなく、他にも数多く非課税対象になるものはあります。
今回は「住民税」が非課税になる世帯に対して詳しく解説していきます。
1. 【2024年度補正予算で実施済】「3万円給付金」の条件はどんな内容だった?
コロナ禍以降、住民税非課税などを対象とする「現金給付」により、家計を支援する施策がしばしばおこなわれています。
2024年度補正予算(※2024年12月可決・成立)では、特に物価高の影響を受けやすい「住民税非課税世帯」を対象に実施された「3万円給付金」もその例でした。
「住民税非課税世帯」は、こうした各種公的支援の対象基準になることが多い区分です。
2. 住民税が非課税になるには?
「住民税非課税世帯」は、今回の給付金のような公的支援の対象基準としてよく使われる区分です。所得に関係なく一律で課税される「均等割」と、所得に応じて決まる「所得割」の両方が免除されている世帯を指します(※)。
住民税が非課税となるのは、以下のいずれかに該当する場合です。
- 生活保護を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦(夫)、ひとり親で、前年の所得が135万円以下
- 前年の所得が各市町村の定める基準を下回る
ただし、3つめの所得基準は自治体ごとに異なります。
※なお「住民税の所得割のみ非課税となるケース」もあります。ただし今回の給付金の対象となるかどうかは自治体により異なるため、必ずお住まいの市区町村などの基準をご確認ください。
3. 住民税非課税の所得目安は?栃木県真岡市を例に解説
先述の通り、住民税が非課税となる所得要件は、自治体により違います。栃木県真岡市の例を見てみましょう。
3.1 住民税非課税世帯に該当する要件(栃木県真岡市の例)
(1) 生活保護法による生活扶助を受けている人
(2) 障がい者、未成年者、寡婦またはひとり親で前年中の合計所得金額が135万円以下の人
(3) 前年中の合計所得金額が【28万円×(本人+同一生計配偶者・扶養親族の人数)+10万円+17万円(※)】以下の人
(※)17万円は、同一生計配偶者または扶養控除の対象となる扶養親族を有する人について加算
真岡市の場合、単身世帯(同一生計配偶者や扶養親族がいない人)であれば、下記の計算式により、前年の合計所得金額が38万円まで、均等割がかからないことになります。
【28万円×(本人1+同一生計配偶者0+扶養親族0)+10万円=38万円】
ただし「所得」は、収入から各種控除がされたあとの金額です。収入換算の方がイメージしやすいかもしれませんね。
そこで住民税非課税限度額を、年収ベースで見ていきます。
3.2 住民税が非課税となる限度額(栃木県真岡市)
栃木県真岡市の場合、扶養人数が0人の場合、アルバイトやパートなどの「給与収入」ならば、住民税非課税限度額は「93万円以下」です。
一方、年金収入のみであれば住民税非課税世帯となる限度額は上がります。65歳未満は「98万円」ですが、65歳以上になると「148万円」にまで引き上がります。
非課税限度額は扶養家族の数が多いほど高くなります。加えて、65歳以上で「公的年金収入のみ」となる場合はさらに引き上がります。
このようなしくみから、老齢年金を受け取るシニア世帯は「住民税非課税世帯」の要件を満たしやすいと考えられるでしょう。
4. 【年金生活者の特権】老齢年金世代が住民税非課税になりやすい理由
老齢年金世帯は「住民税非課税世帯となりやすい」ことを裏付けるデータがあります。
厚生労働省が公表する「令和6年国民生活基礎調査」によると、「住民税が課税される世帯」の割合は、60歳代で79.8%、70歳代で61.3%、80歳代以上では52.4%と低下しているのです。
現役時代よりも収入が減ることは想像にたやすいですが、遺族年金が非課税であることや、老齢年金には各種控除枠が大きく設けられていることも要因と考えられます。
ただし、住民税非課税の判定の基準はあくまでも所得です。預貯金をたくさん持っているお金持ちシニアが、年金収入が基準額以下で住民税非課税となるケースもあります。
住民税非課税世帯には、もちろんシニア以外の幅広い年齢層が含まれます。そして、住民税非課税世帯が受けられる支援は、一時的な現金給付だけではありません。
- 国民健康保険料(応益割)の減額
- 介護保険料の減額
- 国民年金保険料の免除・納付猶予
- 幼児教育・保育の無償化
- 高等教育の修学支援新制度
などを始めとする、公的な優遇措置についても確認しておけたらよいですね。
5. 2025年の年金改正で「在職老齢年金」はどう変わる?
2025年6月13日、国会で年金制度改革関連法が成立しました。多様化する働き方やライフスタイルにフィットする年金制度を目指すものです。
この改正にはパートなどで働く人の社会保険加入対象の拡大(いわゆる「106万円の壁」の撤廃が関連)、遺族年金の見直し(遺族厚生年金の男女差解消、子どもの遺族基礎年金受給の要件緩和)など、注目すべきポイントがいくつかあります。
今回は、その中でも働くシニアへの影響が大きい「在職老齢年金制度の見直し」について見ていきましょう。
5.1 「在職老齢年金制度」の見直し
在職老齢年金とは、60歳以降で老齢厚生年金を受給しながら働いている場合、年金額(※)と報酬(給与・賞与)の合計が基準額を超えると、年金の一部または全額が支給停止となる制度のことです。
(※)老齢基礎年金は対象外となり、全額支給されます。
支給停止調整額(年金が全額支給される基準額)
支給停止調整額は年度ごとに少しずつ見直しがおこなわれてきました。
- 2022年度:47万円
- 2023年度:48万円
- 2024年度:50万円
- 2025年度:51万円
- 2026年度:62万円
今回の改正(2026年4月から適用)では、51万円(2025年度金額)から62万円へと大幅に引き上げられることが決まりました。
厚生労働省の試算では、新たに約20万人が年金を全額受給できるようになるとされています。
この引き上げにより、年金の減額を気にして「働き控え」をするシニア世代が、より自由に働き方を選べるようになると考えられるでしょう。
6. 住民税非課税について理解しておこう
本記事では「住民税非課税世帯」に対する給付金やどのような世帯が対象になるかなど詳しく見てきました。
ひとことで「非課税」と聞くとそこに目が向けられますが、必ずしも良い部分だけではありません。住民税が非課税になることは、所得が低いと言い換えられます。根本的に生活にゆとりがあるとは決して言いきれません。
NISAに対しても同様に利益が出た場合は「非課税」ですが利益が出なかった場合は「損益通算」の対象外になる為、一般的な株や投資信託のような恩恵は受けられません。
それぞれメリットもあればデメリットもあるため、それぞれの特徴を理解したうえで使い分けるようにしましょう。




