2019年4月から有給休暇の取得の義務化が始まります。義務化ということで、これまで有給休暇を取りたくても取れなかった人には朗報です。
しかし、有給休暇を取得できるのはいいけど、取得した日の給与がどうなっているのかということまで意識している人はあまりいないかもしれません。今回は、有給休暇の取得により、会社からいくらもらえるのかを見てみましょう。
有給休暇の1日当たりの単価は?
有給休暇とは、読んで字のごとく、給与をもらえる休暇のことです。給与は月給や時給などいろいろな形態がありますが、有給休暇の給与はどのように計算されるのでしょうか。単純に時給×8時間とか、月給÷月の出勤日数などで決まっているのでしょうか?
実は有給休暇の給与は労働基準法で、次の3つのパターンから選択することになっています。
1. 所定労働時間働いたものとして支払われる通常の額
2. 平均賃金
3. 標準報酬日額(労使協定で定めた場合のみ)
簡単に説明すると、所定労働時間とは1日の労働時間のことです。8時間になっているケースが一般的です。
平均賃金とは、直近3か月間の給与の総額を、その期間の総日数(暦日数)で割った金額です。
標準報酬日額とは、社会保険料の計算に使われる標準報酬月額を30で割った金額です。
どれを選択するかは会社が決めることですが、3は労使協定という手続きが必要なので、大体は1か2の会社が多いのではないでしょうか?
数字例で考えてみる
それでは、1と2のケースを具体的な数字で比較してみましょう。
たとえば、月給25万円で、月の平均勤務日数が20日、1日の所定労働時間が8時間のAさんを例にしてみます。Aさんの給与を時給換算すると
25万円÷20日×8時間=1,562.5円
となります。所定労働時間は8時間なので、1のケースで1日あたりの有給休暇の給与を計算すると、1,562.5円×8時間=12,500円となります。
それでは、同じAさんについて平均賃金で考えてみましょう。話を単純にするためにAさんは残業を全くせず、毎月額面25万円の給与を受け取っているとします。1月、2月、3月で平均賃金を計算してみると、
(25万円+25万円+25万円)÷(31日+28日+31日)=8,334円
となります。この金額が、このまま1日当たりの有給休暇の給与となります。3カ月の取り方次第では、日数が1日くらいずれるかもしれませんが、大幅に平均賃金が変わるということはありません。
このように、1の場合に比べて2の計算では、なんと1日当たり約3割も低くなりました。
同じ有給休暇でも、1の方法なのか2の方法なのかでこんなにも1日当たりの給与が変わってしまうのです。
まとめると、結局Aさんは、
1の場合:12,500円×19日+12,500円×1日=250,000円
2の場合:12,500円×19日+8,334円=245,834円
となります。