物価の上昇が続いており、年金生活を過ごしている方にも大きな負担が生じています。

厚生労働省の調査によると、高齢者の生活意識として半数以上が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答していることがわかりました。

2019年から開始された支援制度として「年金生活者支援給付金」があります。

この記事では、年金生活者支援給付金の支給対象となる方や、2025年度の給付基準額について解説します。

「申請しないともらえない給付金」となるため、請求手続きの方法もご紹介しますので、ぜひご覧ください。

1. 【高齢者の生活意識】半数以上が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答

厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の生活意識に関するリアルな結果を見ていきます。

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

【高齢者の生活意識】半数以上が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答

【高齢者の生活意識】半数以上が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答

出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」

1.1 高齢者世帯の生活意識

  • 大変苦しい:25.2%
  • やや苦しい:30.6%
  • 普通:40.1%
  • ややゆとりがある:3.6%
  • 大変ゆとりがある:0.6%

この調査結果からは、シニア世帯の暮らし向きが、経済状況によって大きく3つの層に分かれている様子が見えてきます。

まず、半数以上(55.8%)が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答し、日々の生活に経済的な厳しさを感じています。

その一方で、「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」と回答した世帯は合計してもわずか4.2%。経済的な余裕を実感できているシニア世帯はごく一握りのようです。

そして、これら両者の中間にあたるのが、40.1%を占める「普通」と回答した層です。この割合は「苦しい」層には及ばないものの、「ゆとりがある」層を大きく上回りました。

経済的な余裕があるとは言えないものの、堅実に暮らす一定数のシニア世帯が、厚い中間層を形成している様子もうかがえます。

2. 「国民年金・厚生年金」には個人差がある

厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均月額は国民年金(老齢基礎年金)で5万円台、厚生年金(国民年金部分も含む)で14万円台です。

国民年金・厚生年金の平均月額(男女全体・男女計)

国民年金・厚生年金の平均月額(男女全体・男女計)

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

ただしグラフのように、厚生年金を月額30万円以上受け取っている人もいれば、国民年金・厚生年金ともに月額3万円未満となる人まで、幅広い受給額ゾーンにちらばっています。

年金とその他の所得を含めても一定基準以下の所得となる場合、「年金生活者支援給付金」の支給対象となる可能性があります。