3. セカンドライフの貯蓄額「参考にすべきは、みんなの平均より中央値?」

J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」を確認すると、70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額階層ごと世帯割合(金融資産非保有世帯を除く)は以下のとおりでした。

※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産非保有世帯含む)

70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産非保有世帯含む)

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成

70歳代の二人以上世帯の金融資産保有額(貯蓄額)は、世帯間で大きな開きがあることが明らかになっています。この年代の世帯の20.8%は金融資産を全く保有していないのに対して、貯蓄額の分布を見ると、3000万円以上を保有する世帯が19.0%存在するなど、資産が一部の世帯に集中している状況です。

また、2000万円以上を保有している世帯は全体の27.9%にとどまっており、多くの世帯は平均的な水準に達していません。老後の生活設計を考える際には、このような世帯間の格差を念頭に、平均値だけでなく、より実態に近い数値を参考にすることが重要です。

3.1 平均値と中央値の大きな開きについて

70歳代の二人以上世帯の金融資産保有額は、平均値が1923万円であるのに対し、中央値は800万円と半分以下の水準です。このように大きく開きがあるのは、貯蓄額が3000万円以上の世帯が19.0%存在するなど、一部の超富裕層が保有する極めて大きな資産によって平均値が大きく引き上げられているためだと考えられます。したがって、「多くの世帯がこの水準にある」という実態を捉えるには、一部の極端な値の影響を受けにくい中央値(800万円)を参考にすべきでしょう。