5. 年収別にみる金融資産の内訳
2024年12月にJ-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」から、世帯の年間収入別に見た金融資産の内訳データを確認します。※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。
5.1 年収と金融商品の保有額の関係性
年間収入別の金融資産保有額
全国平均:1374万円
- 収入はない:249万円
- 300万円未満:661万円
- 300~500万円未満:1065万円
- 500~750万円未満:1233万円
- 750~1000万円未満:1939万円
- 1000~1200万円未満:2069万円
- 1200万円以上:4178万円
- 無回答:-
年間収入別の預貯金額
全国平均:582万円
- 収入はない:154万円
- 300万円未満:322万円
- 300~500万円未満:446万円
- 500~750万円未満:533万円
- 750~1000万円未満:750万円
- 1000~1200万円未満:821万円
- 1200万円以上:1781万円
- 無回答:-
年間収入別の債券保有額
全国平均:66万円
- 収入はない:1万円
- 300万円未満:14万円
- 300~500万円未満:35万円
- 500~750万円未満:83万円
- 750~1000万円未満:114万円
- 1000~1200万円未満:76万円
- 1200万円以上:195万円
- 無回答:-
年間収入別の株式保有額
全国平均:260万円
- 収入はない:15万円
- 300万円未満:111万円
- 300~500万円未満:237万円
- 500~750万円未満:219万円
- 750~1000万円未満:348万円
- 1000~1200万円未満:311万円
- 1200万円以上:872万円
- 無回答:-
年間収入別の投資信託保有額
全国平均:155万円
- 収入はない:41万円
- 300万円未満:65万円
- 300~500万円未満:103万円
- 500~750万円未満:109万円
- 750~1000万円未満:300万円
- 1000~1200万円未満:340万円
- 1200万円以上:437万円
- 無回答:-
年間収入別:投資商品(債券・株式・投資信託)の合計額と割合
全国平均:35.0%
- 収入はない:57万円(22.9%)
- 300万円未満:190万円(28.7%)
- 300~500万円未満:375万円(35.2%)
- 500~750万円未満:411万円(33.3%)
- 750~1000万円未満:762万円(39.3%)
- 1000~1200万円未満:727万円(35.1%)
- 1200万円以上:1504万円(36.0%)
- 無回答:-
このデータを見ると、「債券・株式・投資信託」といった投資商品の保有額は、年収が高いほど多くなる傾向が見られます。
一方で、金融資産全体に占める投資商品の割合に注目すると、年収750~1000万円未満の層で39.3%とやや高くなりますが、「収入がない」世帯を除けば、他の年収層でもおおむね30%台で推移しています。
このことから、資産運用は一部の富裕層だけが行うものではなく、一般的な年収の世帯にも広く浸透している様子がうかがえます。
物価上昇が進む現代において、預貯金だけで資産を保有するのではなく、ご自身に合った無理のない範囲で投資を行い、資産を育てていくことが将来の安心につながるかもしれません。
いわゆる「富裕層」の資産規模に達することは難しくても、自身のリスク許容度に合わせた運用方法を選択することが大切です。
6. 富裕層の資産運用から学ぶこと
この記事では、富裕層の定義や世帯数、そして富裕層が近年増加している背景について解説しました。
富裕層や超富裕層は、預貯金だけでなく株式や投資信託といった金融資産を積極的に活用して資産を形成していると考えられます。
現在の低金利時代では、銀行にお金を預けておくだけで資産を増やすことは困難です。物価上昇によって実質的な資産価値が目減りするインフレリスクへの対策も重要になります。
富裕層に限らず、多くの世帯で資産運用が広まっています。この機会に、物価高の状況も踏まえながら、将来に向けた資金計画を一度見直してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
- 株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
菅原 美優
