朝夕はめっきり涼しくなり、秋の訪れを感じる今日この頃、気がつけばもうすぐ9月も終わります。一年はあっという間ですが、来月10月15日は、今年5回目の年金支給日。残すところ、10月と12月の残り2回のみとなりました。

日本の公的年金制度は、ベースとなる「国民年金(基礎年金)」と、上乗せ部分の「厚生年金」から成り立つため、「2階建て構造」と呼ばれています。

今回の記事では、厚生労働省があらわす「標準的な年金モデル」と平均年金月額の「実際の受給額の分布」から見える、年金生活の現実について解説します。

1. 厚生年金、夫婦2人分の標準的な年金額は今年度23万円台に!

公的年金は、賃金や物価の動向に基づき、年金額が毎年改定されます。2025年度分は前年度より+1.9%のプラス改定となりました。

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分 ※1
  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※2

※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(対前年度比+1300円)です。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

国民年金は、保険料を480カ月(40年間)納めた場合に65歳から受け取れる金額がこの満額となります。満額受給できたとしても、月額で7万円弱と、夫婦2人分の厚生年金モデルの3分の1以下に留まります。

1.1 1回の支給で約46万円もらう標準的な夫婦「どんな世帯?」

1回の年金支給時に「約46万5000円」を受け取る「標準的な夫婦」とは、具体的にはどのような世帯なのでしょうか。

厚生労働省による年金額の定義を見てみましょう。

平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45.5万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

引用:厚生労働省令和7年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」

夫は40年間の平均標準報酬(賞与含む月額換算)が45万5000円、年収にして546万円で就労した会社員など。そして妻は扶養内パートや専業主婦などで、厚生年金への加入期間がなく国民年金のみの受給となるケースです。

こうした夫婦の合計年金が23万2784円となり、2カ月分がまとめて支給されるのです。さらに多くの場合、老齢年金からは住民税や介護保険料といった税や社会保険料が天引き(特別徴収)されます。

天引き内容や実際に振り込まれる金額は、6月に送付される「年金振込通知書」などで確認しましょう。1回の年金支給で「約46万5000円」となれば大きな金額に思えるかもしれません。しかし、一人当たりの月額に換算すると、必ずしも余裕のある水準とは言い切れないでしょう。

また、現役時代の給与とは異なり「2カ月に一度の定期収入」となるため、家計管理のサイクルが変わる点も、留意が必要となりそうですね。