来月10月15日は公的年金の支給日です。年金生活者にとって大切な日ですが、現役世代の私たちにとっても、老後の収入源となる公的年金について考える良い機会となります。

私たちの老後生活の主な収入源は、給与から年金にシフトします。

年金受給額は給与や保険料の納付期間によって変わりますが、もっとも大きな受給額はいくらになるのでしょうか。また、どういった人が高額の年金を受給できるのでしょうか。

この記事では、年金の理論上の最高受給額シミュレーションや高額受給者になるための条件を解説します。

1. 年金の最高受給額はいくら?

老齢年金の最高受給額はいくらなのでしょうか。国民年金と厚生年金に分けて見ていきましょう。

国民年金は、20歳になると誰もが加入する年金です。60歳まで保険料を納め、65歳から老齢基礎年金として受け取ります。受給額は物価や賃金の状況を考慮して毎年改定されており、2025年度の受給額は満額で月額6万9308円(年間83万1700円)です。

厚生年金は、会社員や公務員などの被用者が加入する年金です。受給額は給与を32の等級に分けた標準報酬月額や税引前の賞与の額から1000円未満の端数を切り捨てた標準賞与額、厚生年金保険への加入期間によって決まります。

標準報酬月額の最高額は月額65万円です。また、標準賞与額が最高額になるには、上限の150万円が年3回支給される必要があります。よって、年間450万円の賞与が最高額となります。

厚生年金受給額の目安は「報酬比例部分」を算出して把握します。報酬比例部分は以下のように計算します。

  • 標準報酬月額×0.005481×加入月数
  • 標準賞与額×0.005481×加入年数

厚生年金の加入は、原則として70歳が上限です。16歳で働き始め、継続して加入した場合、理論上の最長加入期間は54年間(648ヵ月)となります。

よって、受給額の目安は以下のとおりです。

  • 65万円×0.005481×648月+450万円×0.005481×54年=364万480円

基礎年金と厚生年金を合わせると、以下の金額になります。

  • 83万1700円+364万480円=447万2180円

2025年度の理論上の最高受給額は、年間447万2180円、月額37万2682円です。

しかし、上記のような金額を受給できるケースは非常に稀です。実際にシニア世代はいくら年金を受給しているのか、次章で解説します。